ルームエアコンにおける快适#12539;省エネ技术.pdfVIP

特集 家電製品の快適性・利便性を支える技術 229 1. ルームエアコンにおける快適 ・省エネ技術 Technologies of Amenity and Energy Saving for Room Air Conditioners キーワード：ルームエアコン，圧縮機，熱交換器，蓄熱，焦電型赤外線センサ，超音波センサ Room air conditioner, Compressor, Heat exchanger，Heat storage, Pyroelectric infrared sensor, Ultrasonic sensor 清水　努 Tsutomu SHIMIZU （1）センサユニットの構成 1. は　じ　め　に 図１は人感センサユニットの一例であり，3 個のセン 近年，地球環境の保護・温暖化防止の観点から，家電 サと配光特性の異なる 2 種類のフレネルレンズ（近距離 製品の省エネルギー性能の向上が求められている．中で 用 1 個，遠距離用 2 個）から構成される．このレンズの もルームエアコンは，一般家庭での CO 排出量がもっ 感帯と不感帯を利用した赤外線量の変化により，人位置 2 とも多い製品に位置づけられるため，その省エネルギー と活動量の検出を行うことで，検出エリアを 7 エリア 性能の向上が社会から強く要請されている． （近距離 1 エリア，中距離 3 エリア，遠距離 3 エリア） 機器（ハード）の省エネルギー性能の向上については， に分類している． 従来から継続して技術開発に取り組まれており，圧縮 （2）人位置と活動量検出に基づく風向制御アルゴリズム 機，熱交換器，送風機，モータ，インバータ電源など各 家庭での居場所実態調査の分析から，家族それぞれに 基幹部品において大幅な高効率化が実現されている．一 定位置や動線パターンがあり，「食事の位置」と「くつろぐ 方で，近年，センサや気流制御を活用した実使用におけ 時（大半がテレビ観賞）の位置」で数分以上同じ場所に留 る使い方の最適化，ソフト面からの省エネルギー性能向 まっているケースが多いことが明らかとなった．一方， 上のアプローチも頻繁に行われており，使用条件によっ ルームエアコンによる空調は，風向偏向してから対象と ては大きな効果が期待できる．また，ユーザーが空調機 するエリアが快適となるまで一定の時間を必要とする． に求めるキーワードとしては，①快適性，②省エネ性， そのため，各エリアの特性に応じて風向を制御するこ ③環境へのやさしさ，④安全＆クリーン性が挙げられて とで，人がいる場所のみをすばやく快適に空調するアル おり，ルームエアコンとしてより一層，快適性と省エネ ゴリズムを構築した． 性を両立・進化させることが求められている． 具体的には，各エリアにおける活動量検出回数の累積 ここでは，ユーザーに無理なく便利にお使い頂きなが 加算（反応頻度）を記憶し，これに応じてエリアを以下 らも，快適さと省エネ性を両立することを主眼とした， の 3 つの特性に区分している． 最近の 2 つの技術について紹介する． 2. センサ・気流制御を利用した省エネ「エコナビ」 2.1　人感センサシステム 従来，ルームエアコンは部屋全体をむらなく快適に空 調する