ルームエアコンにおける快适性#12539;利便性の追求.pdfVIP

特集 家電製品の快適性・利便性を支える技術 235 2. ルームエアコンにおける快適性・利便性の追求 Enhancement of Comfort and User-friendliness in Room Air Conditioners キーワード：快適性，利便性，空気清浄，清潔性，音声認識，見える化 Comfort, User-friendliness, Air purifying, Cleanliness, Voice recognition, Visualization 竹谷　伸行 Nobuyuki Takeya 制御の最適化 4） など，インバータと運転や冷凍サイクル 1. は　じ　め　に の制御技術との融合を中心とした技術開発を行い，その 年間およそ 700 万台前後の大きな市場規模を持ち，家 成果を製品化してきた．また，1988 年にツインロータ 庭内のエネルギー消費量の多くを占めるといわれる家庭 リーコンプレッサを搭載したエアコンを発売するなど， 用ルームエアコンは，年々さらなる省エネ性が要求され コンプレッサ技術の進展と製品化を図り，近年では，世 るとともに，家庭内の温熱環境や空気環境をつかさどる 界初の独自機構として，ツインロータリーコンプレッサ 機器としての役割を果たすことがますます期待されるよ の 2 つの圧縮気筒のうち一つを休止して，低消費電力で うになってきている．そのため，省エネ性の進化のみな 運転することのできる可変シリンダ切替コンプレッサ らず，快適性や利便性の向上ニーズに応える多機能化， 「デュアルコンプレッサ」を開発した．その動作機構につ 1） 高機能化が進んできている ． いて図２に示す． 当社では，家庭用ルームエアコンの開発，製造，販売 高断熱高気密住宅の普及などが進むと，中～小能力域 を 1959 年から長年にわたって手がけ，近年の製品ブラ での運転（部分負荷運転）の割合が増大してくると考え ンド「大清快」（図1）では，その 3 つの文字に，こうし られ，コンプレッサの広範囲な効率向上が重要になって たユーザーニーズに新しい技術で応えるべく思いを込め くる．本コンプレッサの開発のねらいの一つにはこうし ている． た背景があり，図３のように，小さい能力域では小さい 大…大きな省エネ 排除容積の小容量コンプレッサ，大きい能力域では大き 清…清らかな空気 い排除容積の大容量コンプレッサで運転することが効率 快…優れた快適性 面で理想的であると考え，これらを両立させ 1 つのコン 本稿では，当社ルームエアコンの快適性と利便性を支 プレッサで実現するための技術として，可変シリンダ切 える最近の技術，機能について紹介する． 替機構を開発し製品化した． 図４に，当社環境試験室における軽負荷時の従来ツイ 2. コンプレッサ・インバータ制御技術 当社は，1982 年に家庭用として世界で初めてインバー タエアコンを発売して以来，快適性と省エネ性の両立の