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岐阜県機械材料研究所研究報告 No.5 (2012) OpenCV を利用した非接触3 次元座標測定技術に関する研究 浅野 良直 Study on a Non-contact Type Measurement Method using OpenCV Yoshinao Asano 製品加工における寸法測定の分野は、他社との差別化や品質管理および加工技術向上を図る上でも重要視され ている。一般的に寸法測定は設計図面に記載されている寸法との比較であるが、形状全体の歪みなどを検証する 要求も増しており、形状全体の測定には表面上を点群座標として取得できる非接触式測定システムが適している。 近年では、非接触測定システムを構成するカメラなどの機器は低価格化が進んでおり、非接触測定が可能なフ リーライブラリも存在し社内開発も可能な環境となっている。そこで、本研究ではフルーライブラリの１つであ るOpenCV を利用した非接触測定システムの開発支援を図るため、測定精度の基礎となるキャリブレーション方 法について検証を行った。結果として、チェッカーパターンのマス寸法やキャリブレーションを行うための設置 方法について知見を得ることができた。 １．はじめに ２．実験 近年、非接触測定システムの構成機器であるカメラや ２．１ 実験条件 PC 端末などは、低価格で揃えることも可能である。また、 ２．１．１ 測定機構 画像処理を行う開発ライブラリとして OpenCV （Open 実験で使用したステレオ測定機構を図1 に示す。 1-2) Computer Vision） が利用できる。OpenCV はフリー ウェアのライブラリであり、モノクロ変換や特徴点検出 などの画像処理機能の他に非接触測定で必要となるカメ ラキャリブレーション機能やステレオマッチング機能な ども有している。したがって、OpenCV を利用すること でニーズに合わせた非接触測定システムを低価格で開発 することも可能となる。 非接触測定の測定精度は、測定範囲におけるキャリブ レーションが基準となるため、製造現場における精度維 持管理や研究開発中のシステムにおける測定精度の検証 に不可欠な作業である。しかし、キャリブレーションに ・カメラ：IUC-130CN2 （トリニティ製）※130 万画素 多くの時間を要すると作業効率が低下する。そのため、 ・レンズ：VS-LD10 （ヴイ・エス・テクノロジー製） キャリブレーション精度を維持しながら作業工程を簡素 ・輻輳角：約20 度 化する技術開発は、製造現場での精度維持管理における 図１ 測定機構 効率化や非接触測定システム開発の一助となり、非接触 測定システムの普及を図る上で有用な技術と考えられる。 OpenCV におけるカメラキャリブレーションは、 ２．１．２ キャリブレーション条件 Z.Zhang の手法を用いており、複数枚の異なる姿勢の キャリブレーションでは、表１に示す３種類のチェッ チェッカーパターンを撮影した画像からカメラの外部及 カーパターンを使用し、図２のような姿勢で撮影した画 び内部パラメータの推定とレンズ歪み補正のパラメータ 像を利用する。 を得ることができる。本研究では、3 種類のマス寸法の キャリブレーションで使用するチェッカーパターンの チェッカーパターンと様々な姿勢の画像を組み合わせて 姿勢は表２に示すように組分けを行い、条件毎にカ