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    Title 『彗星真言』注解 Author(s) 島野, 達雄; 湯谷, 博 Editor(s) Citation 大阪府立工業高等専門学校研究紀要, 1999, 33, p.81-88 Issue Date 1999-06-30 URL /10466/13521 Rights http://repository.osakafu-u.ac.jp/dspace/ 第33巻 『彗星真言』注解 島野達雄‡ 湯谷博榊 An Ann〇七ated Edi七ion of”Suisei Shingen” Ta七suo SHIMAN0＊ Hiroshi YUTANI榊 Abstract KeyWords： 1 はじめに る。以後、五観は獄中あるいは逃亡中の長英を物心両面 から援助した。不思議なことに嘉永3年（1850）長英が五 関孝和（1640？一1708）に始幸り、建部賢弘、松永良弼、 観の甥である宮野信四郎の斡旋した家で捕吏に襲われ自 山路主柱、安島直円、日干誠、と師弟関係が続く和算の 殺したあと、五観は何の責任も間われていない。 流派をr関流」と呼ぶ。建部賢弘を初伝とすると1）日干 五観は、明治3年（1870）大学出仕天文暦道御用係とし 誠が王伝になる。 て新政府に出仕し、明治5年に行われた太陰太陽暦から この小論で紹介するr彗星真言』の著者、内田五観 太陽暦への改暦に中心的な役割を果たしたことでも著名 （1805－1882、うちだいつみ、以下r五観」と略記）は、 である。 日干誠の弟子にあたり、18才にして関流六伝の伝を受け この論文の目的は、五観と洋学との関わりを例証し、そ た和算家である。五観は、恭、弥太郎、観、観斎とも称 の思想性を推測する重要な資料として、r彗星真言』を取 し、字は思敬、号は東瞳、宇宙堂であった。 り上げ、校注するとともに、五観の自然観の一端を明ら 五観は、和算家として既に名声を得ていた天保2年 かにすることにある。 （1831）ごろ・蘭学者・高野長英に入門して蘭学を学んで 第2章でr彗星真言』の校注を記し、第3章で『彗星 いる。 真言』から読みとれる事項について解説を行う。 天保6年（1835）に、五観は『新星発秘』2〕を著し。各 惑星の公転軌道半径の間に簡単な法則が存在することを 示すrディディウスーボーデの法則1を紹介している。こ 2 校注 の稿本は、オランダ語の読解力を生かして得られた蘭書 『彗星真言』は、国立公文書館・内閣文庫に一本だけ の知識をもとにしていると思われる3〕。 が存在する稿本であり、マイクロフィルム18コマに収録 このころ五観は、尚歯会を主宰した遠藤勝助のほか、高 されている。1コマ目は表紙で「彗星眞言」とだけ墨書さ 野長英、渡辺華山とともに天保7年（1836年）に『二