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平成13年度筑波大学第三学群社会工学類都市計画専攻卒業研究中間発表 2001年12月5日 １．背景 都市近郊農村では、都市化の進展に伴う、交通量の増加に対し、歩道のない道や狭い道路、安全施設の未整備等の道路環境整備が立ち遅れており、安全性の確保が十分なされていない場合がある。またスプロール化により、緑地や農村的空間が失われていくにつれ、快適な環境の保全や創造を求める声や、豊かな自然や良好な環境との触れ合いによる潤いとやすらぎの確保を求める欲求が高まって来ている。このような情勢に対して、国、地方自治体では生活環境整備に関わる様々な取り組みが行われてきた。しかし、それらの多くは生活者の立場に立った計画にはなっておらず、地域特性を十分に配慮したものも少ない。都市計画を行うに当たっての基本的な姿勢として、環境を享受するのはまぎれもなく、そこに居住し、就業し、生活する人間であることから、計画においては、生活者の意向、地域特性を反映した地区レベルの詳細な計画を行うことが大切である。 　また、近年、日本の都市の社会問題として、団地内を貫通する幹線道路に代表される「集合住宅団地内での危険」、大規模な無人駐車場等の「一般市街地での危険」等の新たな危険要因が発生している1)。また交通においても、幼児?児童?高齢者?障害者等の交通弱者と言われる人々の交通事故発生件数は多くなっており、２０世紀における社会資本の蓄積による生活利便性の確保とは裏腹に、安全?安心な生活空間の基盤は揺らぎつつある。 　これまでの地域環境は、大人の生活空間に対するアメニティ評価を基に計画されたものが多く、子供たちの空間認識と評価の上で計画されたものは少ないと考えられる。子供と大人の環境の捉え方は、一般的に異なっていることが多くの文献で指摘されており2), 3)、適正な地域環境計画や、地域環境づくりの担い手である子供に対する環境教育を推進していくためには、子供の行動や空間認識を把握し、大人と子どもの環境認知の違い、また子供の環境への接し方による環境認知の違いを明らかにすることは重要であろう。 　そこで本研究では、子供にとって安全?安心な生活空間の計画を行うため、人間行動学、心理学的なアプローチの導入により人間と環境とのかかわりについて解明し、計画手法開発の一基礎データとする。 ２．目的 　上記の背景を受け、一人一人の意識に基づいた空間計画を実現していくためには、環境が人に与える影響を正確に捉え、人がどのように空間を認識しているか、つまり人が空間をどのように見ているのか、どのような空間イメージを持って接しているのかを取り扱うことが重要となる。しかし、空間認識と言っても広範囲に渡る。そこで、ここでは、その中でも視覚を中心に危険という観点を中心に研究を行う。（ここで言う危険とは、「命」に関する問題として、気を付ける、身を守ると言うことだけでなく、恐怖感がある、気味が悪い、何となく危険を感じるというものも含むことにする。また、実際に体験して危険と判断したものでなく、人から聞いたり、学校から注意を受けたり、噂で聞いたものも含む。） 今回課題とする「子供の地域環境の危険認知に関する基礎的研究」は、都市計画の手法においては、土地利用計画や交通計画等の計画策定のための手法開発ではなく、人間行動の観点からの都市施設の整備方向についての基礎的研究を行うものである。 本研究を進めることにより、 子供の環境の危険認知特性を明らかにする。 　　　子供の中でも通学距離や行動範囲の違い、性別等による危険認知の差異を明らかにする。 子供と大人との危険認知の違いを明らかにする。 　　　子供と大人の危険認知の差異を明確にすることにより、子供の視点も配慮した空間計画を進める必要性を論じる。 子供の視点からの危険な空間を改善する手法の検討をする。 　　　これまでのアンケートを中心とした空間計画に対して、認知分析、アイマークレコーダーによる生理反応分析から、総合化した手法の空間計画手法を確立する可能性を探求する。 ３．研究方法 　危険認知特性を明確にするためには、①評定尺度法を用いた アンケート②想起法?マップ法等による認知法、③アイマークレコーダー?脳波等のよる観測法を活用する必要がある。 ①アンケートの特徴と問題点 　データを数量化する事ができ、全体を把握するのには有効である。その一方で、一人一人の個人データの分析に向いておらず、人と環境に対する詳細な関係についてこの方法では見えてこない。 ②認知マップ法の特徴と問題点 　認知マップ法は、ある特定の空間についての、個人ま