日本法医学会课题调査报告.doc

日本法医学会課題調査報告 診療関連死の法医解剖に関する調査 　　司法?承諾解剖（平成15年（2003）～平成19年（2007）） 　　行政解剖（平成15年（2003）～平成17年（2005）） 日本法医学会企画調査委員会 1.調査対象について 2003～2007年の5年間における診療関連死の法医解剖事例の調査報告であり、モデル事業を除く、全ての診療関連死を対象とした。この調査では診療関連死の定義を「診療行為に関連したすべての死亡。過誤の有無は問わない」という幅広い視点で捉えた。そしてこの中には診療事故、と非診療事故とを含むとし、診療事故とは「診療行為に関連した予期しない死亡事故｛疑いを含む｝で、過誤の有無は問わない」と定義し、更に「診療行為に伴う不可避なリスクの範囲内の悪結果とみなされるものは診療事故とは定義しない」、という但し書きを加えた。一方、非診療事故とは「診療事故以外であるが、遺族からの訴え等により問題とされたもの」とし、例えば「病態変化に伴う不可避な死、ハイリスク手術中の術中死、診療行為が直接に関与していない死亡等」、という但し書きを加えた。なお、この調査の実施に当たり、日本法医学会倫理委員会の承認を得ている。 ２.回答数 　調査依頼は医学歯学系の機関会員すべてに行ったが、このうち歯科系機関を除く関係84機関中59機関から回答があった（70％）。期間中、2036例の剖検例が入力され、うち司法解剖が734例、監察医による行政解剖が1132例、承諾解剖が170例であった。ただし、行政解剖主体の1機関は2003～2005年の3年間のデータ入力にとどまっている。従って、本報告では解析の主体を司法?承諾解剖904例の結果について行い、最終項に3年間の行政解剖例について別途にまとめることとした。 ３.年別解剖数 年別解剖数は162件（2003年）～197件（2004年）の間にあり、特にここ5年間で目立った増加?減少はみられていない。性別は男性485例、女性419例と若干男性が多い。年齢分布を図1に示した。70代が最も多く（217例：24.0％）、60代（173例：19.1％）、80代（131例：14.5％）と続き、高齢者に多いが、有病率とそれに伴う受診機会を考えると当然であろう。以下50代(118例）、40代(74例)、30代(71例）、20代(27例)、10代(17例）と年齢が若くなるほど当該例は少なくなる。一方、0歳児は36例にみられたが、これには出産に関連した死亡も含まれている。 　 　　　　　 ４.診療関連死が発生した施設ならびに診療部門、診療関係者 診療関連死が発生した施設では大学病院以外の私立病院42.1％、大学病院以外の公的病院27.3％、大学病院12.1％、診療所11.2％、介護施設3.0％などとなっている。 問題となった診療科/部門を図２に示す。この項目は複数回答で内科が386例と最も多く、以下腹部/一般外科95例、精神科83例、整形外科62例、産科50例、脳外科45例、胸部外科31例、小児科24例、婦人科15例、麻酔科13例、歯科10例である。なお、産科において21例が嬰児死亡(死産を含む）、残り29例が母体死亡である。その他155例の中では救急科が29例と最も多く、これとは別にICU?NICUが5例あった。また泌尿器科12例、耳鼻咽喉科10例があった。診療関係者は複数回答で、医師が740件と81.9％を占め、一方看護師が223件24.7％と1/4に係わっていた。以下、介護職員28件、歯科医師8件、薬剤師8件、その他33件、不明63件である。 　　　　　　　　 ５.死因 具体的な死因に関しては?極めて多岐に及ぶため、全体としてのとりまとめはここでは省略する。ここでは特定の診療科に絞り、かつその一部を報告する。まず精神科関連での死亡83例中窒息が14例(うち食物による気道閉塞あるいはその後遺症7例?自殺2例）、肺血栓塞栓症が11例、虚血性心疾患6例、不明あるいは呼吸?循環不全のように原死因がわからないもの8例などである。 整形外科関連62例中、肺血栓塞栓症が12例であったが、発生状況あるいはその最初の原因がなにであるかの記載のないものが5例あった。また術中出血あるいはそれに準ずると思われるものも12例報告されていた。アナフィラキシーショックや投与量の誤りといった薬物関連のトラブルに基づいたものが5例みられたが、この中で死因自体は不詳とされたものが2例に見られた。また誤診や診断の遅れが5例にみられ、うち3例は脳外科や一般外科など複数科に絡むものであった。一方で急性心筋梗塞あるいはそれに準ずるような内因性の急性循環不全により死亡したと判断されたものが9例あった。 産科関連で嬰児死21