海洋深層資源の有効利用技術の開発に関する研究.pdfVIP

海洋深層資源の有効利用技術の開発 に関する研究 1試 験研究の全体計画 1研 究の趣旨 海洋資源は,こ れまで魚介類 を中心に,そ の利 用が進め られて きたが,近 年,海 域の総合利用の 推進,新 たな有用物質の利用を図る観点から,従 来利用 されていなか った海洋深層資源が注 目を集 めて いる。 海洋深層資源 としては,豊 富な無機栄養塩,清 浄 な海水,表 層 との温 度差 エ ネルギー,海 中 ? 海底空間,深 海微生物等が重要視 されているが, 海洋深層資源の実態が把握 されていないこと,システ ムの開発を含め利用技術の研究が行われていない こと等の理由か ら,こ れ ら資源の有効利用は進展 していない。 このため,本 研究は深層域か ら海水を陸上及び 洋上 に効率的に汲み上げて,生 物生産等 に利用す る技術,海 中に光を導入 して藻場を造成 し,海 洋 環境の保全等 に役立て る技術及び高圧等の特殊環 境下 にある深海微生物を探索 ?培養 する技術等の 研究を実施す るものであり,こ れ までの基礎研究 の成果を踏まえて,産 ?学 ?官の研究者の有機的 連携 の下 に総合的に実施する必要がある。 これにより,海 洋資源の利用の飛 躍的な拡大 と 海洋科学技術の一層の向上が期待 される。 2.研 究概要 (1)深 層水 の立地条件に基づ く有効利用技術 に関 す る研究 海流等種 々の点で性質の異なる日本海 と太平洋 において,深 層水の物理,化 学,生 物的環境を明 らか にし,立 地条件 に基づ く深層水 の生物生産 に 対す る有効性 を検討する。 また,深 層水の有効利用 システムとして,洋 上 型及び陸上型が想定 されてお り,洋 上型 について は,日 本海のモデル海域 において表層水との温度 差を利用 したエネルギー自給型の洋上設置型深層 水利用装置を開発 し,深 層水を洋上に汲み上げて 豊富な栄養塩 によ り海域 を肥沃化 して生物生産を 増大させる技術等の開発 に資す る。 一方 ,陸 上型で は,太 平洋のモデル海域におい て陸上設置型深層水利用装置を開発 し,深 層水を 陸上 に汲み上 げて豊富な栄養塩 の他に,清 浄性や 低温性を利用 した効率的な動植物プ ランク トン生 産技術等の開発 に資す る。 ② 光を利用 した海中緑化技術 に関す る研究 藻場は環境浄化や生物生産 に効果を有するとい われるが,そ の機能について はあま り解明されて いない。 このため,海 藻の生育反応を把握 して光特性に 関す る研究を行 うとともに,リ ン,チ ッ素などの 化学的諸要因が環境浄化 に及ぼす影響などの海藻 の環境浄化特性 に関す る研究行 う。 また,太 陽光が十分届かないために藻場 が生育 しない無光層に人工光を導入 して藻場を育成 させ るための人工光利用生産装置を開発 して,無 光層 における人工光を利用 した藻場生産技術の開発 に 資する。 ③ 深海微生物の探索 ?培養 とその生理 ?生態に 関す る研究 深海微生物は一般の微生物 とは異 なる生理 ?生 態機能を有 してお り,有 用微生物資源 として注 目 されている。 このため,圧 力保持型の海 中微生物採集器 と海 底微生物採集器を開発 し,圧 力保持型培養器等の 試作を行 う。 また,深 海微生物の分類,保 存や生態の研究, 細胞膜や酵素の耐圧性に関す る研究,深 海微生物 が産出す る生物活性物質に関す る研究を行 うこと により,深 海微生物の有用性 を検討す る。 一138一 3.年 次 計 画 研 究 項 目 (1)深 層水の立地条件に基づ く 有効利用技術 に関する研究 ① 深層水の実態解明に関す る研究 D日 本海側海域 a.深 層水の物理 的環境 の解明に関す る研究 b,深 層水の化学 的環境 の解明に関す る研究 c.深 層水の生物 的環境 の解明に関す る研究 }D太 平洋側海域 a,深 層水の物理 的環境 の解明に関す る研究 b.深 層水の化学 的環境 の解明に関す る研究 c.深 層水の生物 的環境 の解明に関す る研究 ② 深層水利用装置の開発 1)洋 上設置型深層水利用 装置の開発 a.深 層水取水 ?撒水装 置の開発 b.エ ネルギー自給制御 装置の開発 il)陸 上設置型深層水利用 装置の開発 ② 光利用 による海中緑化技 術 に関す る研究 ① 海藻の光特性 と環境浄化 特性に関する研究 D海 藻の光特性に関す る 研究 61年 度 62年 度 63年 度 物 理 的 環 境 の 解 明 化 学 的 環 境 の 解 明 生 物 的 環 境 の 解 明 物 理 的 環 境 の 解 明 化 学