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1 設置の趣旨及び特に設置を必要とする理由 １ 設置の趣旨及び必要性 1.1 筑紫女学園大学の使命及び教育目標 筑紫女学園大学は、仏教精神に基づく人間理解を基盤として、「限りない ＜いのち＞ への目覚めを うながし、社会の中で自己を実現する人の育成を通して、新しい時代を創造する」ことを使命として いる。 現在の文学部は、「多様な文化を通して人間としての生き方を学び、社会の問題に共感し行動できる 女性の育成」を目的として、言語?文化系の日本語?日本文学科、英語学科、英語メディア学科及び アジア文化学科と、社会?臨床系の人間福祉学科及び発達臨床心理学科の 6学科で構成している。 今般、設置する人間科学部の基礎となる文学部人間福祉学科及び発達臨床心理学科も、この本学の 使命、文学部の目的を具現化するために設置したものである。すなわち、平成 11年に設置した人間福 祉学科は、子どもや高齢者、障がいを持った人々への支援者として、さまざまな福祉の現場で活躍で きる専門家や地域リーダーの養成を目指し、実践的な専門技能を身につけるとともに仏教精神を基盤 とした人間性豊かな福祉マインドを養うことを目標としてきた。平成 14年には人間福祉学科を基盤と して、ひとの心の働きや発達について、深い関心と確かな知識を身につけ、一人ひとりの多様性を尊 重し援助しようとする、共生社会の支え手の育成を目標として発達臨床心理学科を設置した。両学科 は、上記の理念及び教育目標のもと、社会福祉士、精神保健福祉士及び保育士といった専門職を多数 輩出するとともに、福祉?心理マインドをもって社会に貢献する幅広い職業人を送り出してきた。 また、両学科を含む文学部 6 学科では中学校?高等学校、特別支援学校の教員養成に係わる課程を 設け、併設短期大学部幼児教育科の幼稚園教諭や保育士とともに多くの専門職を輩出してきた。 さらに、学園創立 100周年を迎えた平成 19年には、知識基盤社会を支える幅広い視野と的確な判断 力、実践的な応用力を備えた人材ニーズに応えるため、文学部 6 学科を基盤とする大学院人間科学研 究科（修士課程）を設置した。同研究科は、社会が必要とする新しい文化創造に参与する高度な知識 を涵養し、多様に発展する社会で実践的に活躍する高度専門職業人の養成を目的としている。 1.2 人間科学部設置の必要性 現代社会における経済情勢等の急激な変化は、少子高齢化や核家族化をはじめとする社会動向的な 問題を顕在化させるだけでなく、人間一人ひとりのレベルで、人と人、人と社会との関係にひずみを 生じさせ、その対応が重要な社会的課題となっている。とりわけ、外見的な豊かさの裏に格差社会が 拡がり、支援の手が届かないままに貧困の中に孤立する人々の問題や、児童虐待に象徴されるような 家族機能の崩壊、老人の孤独死等で顕在化するコミュニティの喪失といった種々の課題は、人間が人 間らしいつながり、関係を喪失し、孤立化が進む中で、より一層問題の深刻化を招いている。傷つい た人こそ支えられるべきであるにもかかわらず、人と人とのつながりが希薄化した社会は、往々にし て、こうした問題を他人事として無視し、排除しようとする。これまで以上に、人と人、人と社会が 互いに尊重し合う共生社会の実現が希求されている。 また、このように人間関係が希薄化し、断裂した社会の中で育つ子どもたちは、その生涯発達にお いて人に対する共感性や信頼感を持つことができず、さまざまな適応上の問題を抱えることにもなる。 2 次の時代を担う子どもたちの健全な人間形成を支えることは、社会に課せられた責任である。そこに 求められるのは単なる知育ではなく、幼児期からの教育の中で、互いにつながりあい尊敬しあう関係 を結ぶことのできる人間に育てていくことである。 本学部の設置は、このような現代社会の諸問題、とりわけ、人間の生活や発達に関わる今日的課題 に対する正確な認識?理解と、適切な判断?対応能力を養成し、人間?社会支援に携わって共生社会 の実現に寄与しうる人材育成の必要性に応えるものである。 既述したように、設置の基礎となる人間福祉学科?発達臨床心理学科においても、現代社会に生起 する種々の問題を抱えた人々に対する福祉的?心理的支援を提供する人材の養成を行ってきた。今般 の設置計画は、それらの教学主題を充実発展させ、人間及び社会に対する総合的な理解に基づく実践 的な能力を育成するため、対象とする学問分野を心理学、社会学?社会福祉学及び教育学?保育学と し、学際的な観点からの研究を行うとともに、これらの分野に関わる専門職業人の養成を図ることを 教育研究上の目的とした。 1.3 設置計画に