概要版［PDF形式15MB］-厚生劳动.PDF

平成２６年版労働経済の分析（労働経済白書）のポイント ～人材力の最大発揮に向けて～ 問題意識 ○ 人材こそが日本が世界に誇る最大の資源である。全ての人材が能力を高め、その能力を存分に発揮できる ｢全員参加の社会｣の構築には、働き手の数（量）の確保と労働生産性（質）の向上の実現が求められる。 ○ こうした問題意識を踏まえ、白書では、労働者を育成し、その就労意欲を引き出すことによって、企業の 成長へとつなげていく人材マネジメントについて分析するとともに、職業経験を通じた人的資本の蓄積に よって職業能力をさらに高め、安定した生活を送ることのできる職業生涯を通じたキャリア形成に関して 分析を行った。 第１章 労働経済の推移と特徴 雇用・失業、賃金、労働時間、物価・勤労者家計、労使関係について、2013年の動向を中心に分析。 ・2014年1～3月期には完全失業率が3.6％となり、有効求人倍率が1.05倍となるなど 、雇用情勢は着実に改善しており、人手不足感が高まっている。なお、2014年７月 雇用増、 の有効求人倍率は1.10倍と６月に続き22年ぶりの水準となっている。 賃金上昇 ・過去の景気回復期と比較して、今回は、所定外労働時間だけでなく就業者数が増加 に向けた したことが大きな特徴。その内訳をみると、非正規雇用労働者が大きく増加する一方 で、正規雇用労働者は減少した。 動き ・2014年の春季労使交渉では、景気回復に伴い企業収益・雇用情勢の改善がみられた こともあって、多くの企業でベースアップを含めた賃上げの回答が行われた。 第２章 企業における人材マネジメントの動向と課題 企業を取り巻く競争環境が変化する中、労働者を育成し、その就労意欲を引き出すことによって、企業の成長へ とつなげていく人材マネジメントについて分析。 ・グローバル化やITを始めとする技術革新の進展、経営の不確実性の増大など、企業を取り巻く 競争環境が変化する中、正規雇用労働者のみならず、様々な雇用形態で働く労働者が増加して 企業を成長 いる。 させる人材 ・就労意欲を引き出し、競争力を高めることが企業に求められている。労働者の就労意欲が高い マネジメン と考えている企業では、労働者の定着率が高くなるとともに、労働生産性や売上高経常利益率 トについて も高い傾向にある。 ・このような企業では、就労意欲が低いと考えている企業と比べ、雇用形態にかかわらず、積極 的な雇用管理に取り組んでいる。 第３章 職業生涯を通じたキャリア形成 様々な雇用形態で働く労働者が増加している中、職業経験を通じた人的資本の蓄積によって職業能力をさらに高 め、安定した生活を送ることのできる職業生涯を通じたキャリア形成に関して分析。 ・我が国における職業キャリアの現状をみると、男性では初職から離職せずに就業し続ける割合 我が国の が高いが、女性では男性に比べその割合は低い。 職業キャリ ア形成につ ・一方、職業生涯の中で転職を繰り返す者が一定割合存在し、高所得者層では積極的に転職を行 いて っている層がみられる。 ・非正規雇用から正規雇用への移行においては、年齢が若いほど正規雇用への移行可能性が高く なっている。 まとめ ○ 経済の好循環の実現に向け、企業収益の拡大を持続的な賃金上昇につなげていくために、労働生産性を高めて いくことが重要である。 ○ 多様な労働者に積極的な雇用管理を行い、就労意欲を引き出す人材マネジメントが、企業を成長させるととも に、我が国の経済成長を高めていく。 ○ 持続的な職業キャリアを通じた人的資本の蓄積によって職業能力を高めることが、人々の職業生活を安定 させるとともに、我が国の経済社会の基盤を強固にしていく。 -1- 着実に改善した雇用情勢 2014年1～3