超精密微细加工机-J-Stage.pdf

大スケールかつ精密 超精密微細加工機* Ultra-Precision Micro-Cut Finishing Machine 長瀬幸泰** 小泉孝一*** Yukiyasu NAGASE and Kouichi KOIZUM ultra precision micro-cut finishing machine, single point diamond tool, hydrostatic bearing guide way, Key words cylindrical type linear motor drive mechanism, computerized numerical control machining system 因として考えられる． 1．は じ め に 本報告は，加工作業者の技術スキルの依存度を最小化さ これまでの除去（切削および研削）加工に関する生産技 せるために開発した直交三軸静圧軸受支持構造および静圧 術の主流は，現場技能者の経験則に基づく加工作業のスキ 軸受支持割出し装置の工具旋回軸と工作物保持軸をもつ超 ル（心得，熟練度）に多大に依存していた．例えば，経験 精密微細加工機の開発に関する技術理念ならびに数十時間 豊富な熟練作業者は，使用する工作機械固有の性能や特異 から数日間におよぶ連続加工時間の安定化に必要な加工環 性を考慮しながら，工作物の形状や材質などから得られる 境の周辺技術の確立から創 出した特長 的な加工事例を述 被削材情報と前加工情報を総合的かつ合理的に思考し，到 べ る． 達可能な作業能率と加工精度を経験的に判断して手際良い 2．超精密微細加工機の開発に関する技術理念 加工の段取りにより，除去加工による目的とする加工精度 と作業能率を達成してきた経緯があった． 被削材（加工物）の幾何学的な寸法公差 を考慮して形状 しかしながら今日的なデジタル関連製品の生産技術に必 創成加工を実施する場合，運動転写原理に忠実 な工作機械 要な超精密で微細な除去加工では，必ずしも作業者の経験 を用い，工具と加工物に絶対的な位置と運動を与 えて両者 的な作業スキルが通用し難い加工作業環境となっている． を干渉 させ，干渉部分の切込み（干渉）量を制御して除去 このデジタル関連製品の生産技術に代表される加工環境 加工を行う ことが最適 な加工法 と考える．それは，工具お では，切削工具および研削砥石の座標移動に必要な位置決 よび加工物の固有な特性（例えば，切れ刃磨耗や加工物材 め操作量や切削工具および砥粒切れ刃の切込み量が目視不 の結晶構造など）を除くと，運動転写原理に忠実 な工作機 可能な微小量となってる． 械とは，工具と加工物に 対的な位置（座標）と 対的な このため，連続的で安定したナノメータ領域の切込み切 運動を繰返 し与 えても，擾乱外力 に抗 して，常 にその動作 削が持続できるか否かの判断は，加工作業者の作業スキル の再現性に優れ，両者の干渉領域の局所的な破壊現象 によ に 依 存 し な い 高 速 か つ 高 分 解 能 な CNC 制 御 る切削作用が達成できる特性をもつ．言い換 えれば，運動 （Computerized Numerical Control）指令に的確に追随す 転写原理に忠実 な工作機械の加工（