樹木が密生する常呂川の洪水期間中の流れと河床変動の一体解析法を用いた計画河道断面と樹木管理方法の提案.pdfVIP

樹木が密生する常呂川の洪水期間中の流れと河床変動の 一体解析法を用いた計画河道断面と樹木管理方法の提案 Flood Flows and Bed Variation in a Compound Meandering Channel with Cultivated Lands and Trees 1 2 3 福岡 捷二・岡部博一 ・飯島直己 Shoji FUKUOKA，Hirokazu OKABE, Naoki IIJIMA 1中央大学研究開発機構 教授 2国土交通省北海道開発局網走開発建設部治水課長 3中央大学大学院 理工学研究科 土木工学専攻 修士２年 要 旨 常呂川は低水路が大きく蛇行し，その水際には樹木が繁茂している．また， 広い高水敷の大部分は耕作地として利用されており，洪水時は耕作地と流域 で生産された土砂が濁水となり流下する．その結果，低水路河床には縦断的 に土砂が堆積し，海域には多量の土砂が流出することからその原因の究明と と対策が求められている．本研究では，蛇行低水路の土砂堆積機構と海域へ の土砂流出を平成18 年 10 月に生じた大規模洪水を対象に0km~20km 区間 で検討を行った．はじめに，洪水前後の横断測量結果，及び河床材料粒度分 布から低水路の土砂堆積，耕作地の浸食について検討した．次に，水面形の 時間変化を解とする非定常平面二次元解析河床変動解析を適用し，洪水中の 流れ場と河床変動を明らかにした．解析では，耕作地の浸食を表すために， 低水路と共に高水敷の土砂移動も解いている．樹木群抵抗に関しては，樹木 群の粗密を考慮した形で樹木群透過係数を決定している．また，河道に堆積 する土砂量を再現するために，上流山地域から河川に流入する土砂量を考慮 に入れた境界条件を用いた．浮遊砂による河道内土砂堆積には，上流山地域 から供給される土砂が重要であることを示した．また，低水路河床及び樹木 群内に堆積土砂は上流域及び河道内耕作地から供給されるシルトであること を示した．浮遊で流出する土砂は流下に伴い，分級が進み，洪水の上昇期に 比較的粗い粒径の土砂が多く流出し，洪水期間中に二山の波形を形成するこ とを示した． 《Key Words : vegetation, meandering low water channels, field erosion, flood flow, bed variation, unsteady two-dimensional river bed variation analysis 》 - 1 - １．序論 日本の河川の多くは中下流域において，複断面蛇行河川である．複断面蛇行河川における洪水流の 流れ特性や河床変動特性については，多くの研究事例1)がある．その中でも特に，岡田・福岡の研究 2)では，全国主要河川のデータを用いて，わが国における複断面蛇行河川の平面形状特性を示し，大 型蛇行水路実験により，流れと流砂量・河床変動に及ぼす水路の平面形状，水理条件の影響等を検討 している．そして，それらの結果から，複断面蛇行河川における特徴的な二つの流れ，単断面的蛇行 流れと複断面的蛇行流れの発生領域を提示し，低水路満杯程度の流量時に土砂輸送が最も活発に行わ れ，最大洗掘深が生じること等を示している．一方，近年では河道内において樹林化が進行している． 藤田ら 3) は多摩川の扇状地河道を対象に樹林化のメカニズムを検討し，その進行予測モデルの構築 を行っている．樹林化が進行すると，洪水の流下断面が狭められ，水位上昇等の治水上の問題が生じ る．さらに，蛇行低水路沿いに樹木が繁茂すると，樹木内の遅い流れが低水路内に流入することで流 速が低下し，低水路内に土砂が堆積し易くなることが考えられる．よって