地震災害監視用実用的小型無人飛行機システムの提案.docVIP

分科会テーマ 第3分科会 氏名 　炭田　潤一郎 論文タイトル 地震災害監視用実用的小型無人飛行機システムの提案 はじめに 近年の地球温暖化傾向の下、これまでにない気象変動に見舞われて大雨や突風等の猛威に晒され、地震、津波等の突発事象にも甚大な被害が発生している。これらに対しては日常的な監察体制の整備を行い、少しでも事象を予知できるようにして影響を抑えることが大切であるが、被害が発生したらいち早くその状況を把握し、適切で時宜を得た対策をとることも強く求められるところである。 これらの情報収集活動はその正確さと取得時間等の必要性から多元的に行われる必要性があるが、ここでは最前線における最も効果的な収集ツールとしての実用的小型無人飛行機を検討し提案する。 必要とされる災害監視の様態 ハザードマップ 防災対策としてのハザードマップは各地方自治体にその作成が義務付けられているが、その徹底とともに内容の充実が求められる。常態における地域観察が基本となるが、その情報は低空からのつぶさな航空写真が強力なツールになる。 被害対策 現在、事象発生から30分で有人ヘリコプタを出動させ情報収集にあたる体制を整えていく方向にあるという。その後はその結果によって所謂災害対策体制が作動して、マスコミも動員しての行動がとられる。しかし、その30分までの空白があることに大きな初動の遅れをきたしているのではないかと危惧される所があり、それに対してその間にも手軽に取得できる動画を含めたな航空写真情報があれば現在の体制を補完するものになる。 　実験機により取得した市街地航空写真例を示す。 実用的小型無人機システム UAS 提案 実用的小型無人飛行機の持つ意味 最近の小型無人飛行機の技術的発展には大きいものがあり、その自律飛行能力はカメラ等の搭載センサの小型化等とも相俟って災害監視活動に大きく寄与できる基盤を有してきている。しかし飛行機を飛ばすということは小型無人飛行機とはいえそれなりの広い場所と地上設備、及び熟練者を必要として、決して容易なものではない。それを限られた場所と手軽な設備で、誰にでも運用できるシステムにしたものが実用的小型無人飛行機システムである。それに適した様態の無人機システムと自律的な形態作動能力を持っているものなる。 最適なUASの提案 ここで提案するのは下図に示す飛行パターンを自律的にとれて、飛行状態と飛行機からのカメラ情報をリアルタイムで聴取できるシステムである。 　これは垂直に離陸し、垂直に着陸するTail-Sitterでデータ通信の機器と自律制御のセンサとマイクロプロセッサを搭載している。 図2　Tail-Sitter方式における飛行パターン 機体としては下図の様式を持っている。 　これは電動で動くのでその作動と保守の容易性を 図3機体外観図と飛行制御システムブロック図 表1　設計機体性能諸元 持つが、GPSナビゲーションによって指定の場所を指令通り飛行することができ、帰還することができる。また双発エンジンとその配置はホバリング時の機体操作を可能にしているが、垂直モードに耐える推力は水平飛行時の高速性と地域カバーリングの広さを示すものになっている。これはヘリコプタ型の無人機には遂行できない特徴で地域監視に極めて有効な機能である。 上記機体諸元は飛行実験に供した機体のものだが、より高容量のLi-ion電池搭載によって40分以上の耐空能力を持たせうるし、さらに離陸を手投げで行なったり、着陸も通常模型飛行機のように滑走接近させて、地面近くで機体を失速させて落とす回収方法があるし、垂直着陸の際も垂直姿勢のままで静止する必要はなく、水平の通常姿勢に倒れても差し支えない等、の諸手法の適用工夫によってさらに滞空時間を延ばし1時間程度のミッション遂行が可能になる。 機体の制御ブロックを下図に示すが、本機では運動方程式の姿勢90゜の特異点を挟んだ2座標系を採用し、各々は簡易式で構成したものを機体姿勢に応じて変換して適用する方式をとることにより、極めて簡便な制御基盤を構築した。基本的には姿勢安定制御と目標追隋制御の組み合わせになる。 提案する災害監視体制 上記で機体システムを示したが、このほかにコミュニケーションと飛行状況のモニタ、及び指令のための地上コンピュータ系が必要になる。 これらを各地方自治体がたとえば各消防署等に一定のボックスに収納して常時配備することにより、災害に備える体制をとることができるし、ハザードマップ作りにも使用することができる。 運用には数度の講習が必要とはなろうが運用者に資格制度を適用するような難易度はなく、マニュアルにそって維持し作動させることができよう。 図4　制御システム図 まとめ 本論文では、各地の地方自治体に常時設備され、