業務システム最適化計画について.doc

Ⅱ．計画の作成方法 １．ＥＡの構成と記述様式 第Ⅱ部では、第Ⅰ部で紹介した考え方に基づき、具体的にどのような成果物をどのような手法によって策定するのか、具体的な解説を試みる。ただし、特にこの第Ⅱ部で紹介する方法論や方法論の解説方法については、まだ試行的段階のものであり、今後の政府における実践的な活動やCIO補佐官等への研修の結果、さらに改善されるべき段階のものである。 業務?システム最適化計画（ＥＡ）の構成 政府が公式に策定する業務?システム最適化計画は、次の４種類の成果物から構成される。 業務?システムの概要と最適化の方向性 ＝＞　EA導入の前提となる、「組織目的（Mission）」と「原則（Principles）」 業務?システムの現状、理想目標及び次期内容 ＝＞　開発?利用の対象となる、狭義の「EA成果物」 最適化の実施内容 ＝＞　EAが当面目指す、「最適化の目標値」 最適化工程表 ＝＞　EAの開発?利用のスケジュール 　これらの記述様式は、政府全体の統一的手法として次のように定められる。以下では、実際に策定する手順に則って、それぞれの成果物の内容と役割を概説する。それぞれの策定方法の詳細については、「２．業務?システムの概要と最適化の方向性」以下各章を参照されたい。 業務?システムの概要と最適化の方向性 はじめに、最適化計画の策定対象となる業務?システムの範囲と最適化の方向性を数行の文章で記述する。これは、対象となる業務?システムの内容や目的を簡潔?明瞭に記述することにより、EAが対象とする「組織」の範囲（Enterpriseの定義）とEAを策定?導入する際に目指す方向性を明確化するものである（表2-1）。 本作業を行うためには、まず、各府省横断的に行われる第一段階の政策?業務体系分析を行い十分に現状把握することが必要である。また、諸外国等における先進事例を参照しつつ、電子政府構築計画を踏まえ、業務?システムの見直し方針の骨格を立てることが必要となる。その結果として、その方針と整合性の取れた最適化を行う対象範囲も決まってくることとなる。 第一に、最適化を行うべき理由と方向性を明確にする。その内容は、業務?システムに関するコスト削減、人員削減といったものから、内部業務のＢＰＲ、共通的な電子申請システムの導入、組織内での情報共有の促進など、対象の範囲と実態によって様々な方向性がありえ、先進事例の知見や組織の置かれている現在の状況を踏まえて総合的に判断を行うことが必要である。これを文章に記述する際には、それぞれの最適化計画が目指す方向性について明確にプライオリティをつけつつ、優先順位の高い順に簡潔に記述することとする。これが、今後EAを開発?利用していく際、全体の方向性を常に規定する「組織目標（Mission）」と「EA開発?利用の原則（Principles）」となる。 第二に、見直し方針の骨格に即した最適化を行おうとした場合、統合化?合理化の対象となる業務?システム、すなわち「Enterprise」の範囲を判断する。その対象範囲は、分析の結果、組織全体に及ぶこともあれば、一部の業務機能を切り出すこととなる場合もあるが、最適化の方向性、すなわち、「組織目的（Mission）」及び「EA導入の原則（Principles）」が固まれば、自ずと明確になる。 なお、その結果を記述する際には、相互参照性を高め、その他の最適化活動との整合性を確保するため、政策?業務参照モデルが定める業務?システム体系の整理に準じ記述する。 第三に、それぞれの場合について、業務?システム最適化のために業務自体を変更する必要が生じた場合、その対応責任者が誰であるのかを明確にする。特に、最適化の方向性に対してコミットしたCIO補佐官のカウンターパートが誰になるのかを明示的に確定することは、実務上極めて重要である。このため、調達側で対象となる業務の変更管理について責任を持つ業務部門長を定義することとする。 以上の作業より、「誰が」、「どの業務?システムを」、「どのような方向で最適化するのか」という最適化計画の骨格が明らかとなる。 表2-1　EA策定対象となる業務?システムの範囲と最適化の方向性（記述例） 業務?システムの現状、理想目標及び次期モデル（狭義のＥＡ成果物） 最適化の方向性を明確にし、前提条件が整ったら、業務?システムの最適化を行うためのEA成果物の策定に移る。現状（Asis）モデル分析、理想（ToBe）モデル分析、次期モデル分析の順で作業が行われる。 この際、各府省がそれぞれバラバラの方法によって現状把握や理想モデルの設定を行ったのでは、それぞれの計画内容を相互に参照できず、関係府省全体で整合性のとれた最適化を行うことができない。また、特定企業