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株式会社　石油産業技術研究所　　保安教育テキスト 第１章　保安意識の高揚 目　次 １．　安全の概念 1.1 人間と安全 1.2 セル安全とシステム安全 1.3 安全学 1.4 産業安全の原理?原則 ２．　安全環境（社会情勢） 2.1 公共の安全確保の重要性 2.2 事故災害が事業に及ぼす影響 2.3 労働災害のコスト ３．　安全管理活動 3.1 安全管理体制 3.2 安全教育 3.3 安全活動 　 ４．　運転基準類 4.1 運転基準類の分類 4.2 運転基準類の立案および改定 ５．　まとめ 第１章　保安意識の高揚 ３．安全管理活動 いままで記述してきた「安全の概念」及び「安全環境」は、安全の考え方または安全の基礎的知識といったものであり、安全人間を形成するための要件である。 このような要件を備えていても、それを有効に活用しなくては何の意味もない。現場の安全は、知識に基づいた活動により達成される。その手段が安全管理活動である。 安全管理活動とは、４Ｍの欠陥を組織的に制御する活動である。具体的には、安全対策のＰＤＣＡ（Plan．Do．Check．Action）を完結させることである。 ここでは、安全管理活動を推進するための基本的事項について記述する。 3.1 安全管理体制 1)　安全管理組織の基本 ライン組織だけで職場の安全を維持することはできない。その理由は「安全対策の原則」で前述したとおりである。何らかの方法でラインに安全を連動する仕組みが必要である。一般的に、ラインに安全を連動する仕組みとして次のような型がある。 (1) ライン型 ラインが、安全管理すべてのＰＤＣＡサイクルを完結する方式である。中小規模の事業所で採用されるケースが多い。欠点は、生産ラインの仕事が優先されてしまうことである。安全管理組織としては好ましくない。 (2) スタッフ型 スタッフ型の安全管理は、ライン型とは逆に安全管理業務のすべてを安全担当スタッフが行うものである。この型は、安全情報の収集、安全管理の計画、チェック、評価等には機能するが、現場の安全活動の指導が第3者的な立場にいるため困難になる。この型も、中小規模の事業所向きである。 (3) ライン?スタッフ型 安全管理組織が最も機能する型は、ライン?スタッフ型である。この型は、事業所全体の安全管理計画、チェック、処置をスタッフ部門で実施し、計画に従った実施活動をラインが行う。スタッフとラインが協調してＰＤＣＡを完結する体制である。どちらかといえば、大規模の事業所用である。事業所のスタッフ数は、事業所の形態にもよるが、従業員数500名で、専従の安全スタッフを1名程度設置する必要があるだろう。 2)　総合安全管理 会社の構内で行う協力会社の仕事は、設備の保全、装置の運転、製品の運搬等多岐に渡り、手作業が多く、会社の従業員に比較して危険性が高い。また、作業場所、設備は会社の資産で両者が混在することから、協力会社の努力だけでは十分に「危険防止」を図ることが困難な側面がある。 「総合安全管理」とは、このような協力会社の状況を考慮して、会社が安全施策と指導により、会社および協力会社が安全管理を総合的に行うことである。 (1) 総合安全管理の必要性 一般的に協力会社は小規模の事業者の集合である。親会社に比較して安全管理に費やす労力が不足勝ちになる。従って、労働災害の発生率は、親会社より高い。 図１－24は総合化学会社と協力会社の平成３年から平成７年の５年間の休業度数率を比較したものである。 図１－24　休業統計 　協力会社は、仕事の危険性が高く、かつ、小規模事業者であるため安全管理水準が低く、災害の発生率がある程度高くても仕方がないという時代ではなくなってきている。極論すれば親会社の安全管理レベルは、協力会社とセットで議論されなければならないと考えるべきである。 (2) 総合安全管理の姿勢 ①会社 保全作業および装置の運転についても、従前に比較して協力会社への下請化が進行している。これらの仕事（生産行為）には、必ず「危険」が潜在している。会社は、この危険を制御しないまま仕事を下請してはならない。事前に作業や設備の危険を削除しておくことが協力会社に対する「安全配慮義務」の原点となる。 リスクアセスメントに基づいた「作業基準」（保全作業表、運転マニュアル、作業手順書等）を作成して協力会社に周知するとともに、作業基準どおり作業が遂行しているか、常にフォローアップする仕組みを設定しておくことが、総合安全管理に係わる会社の基本的な任務である。 ②協力会社 会社の「安全配慮義務」を取り違えてはならない。仕事で「怪我」や「健康傷害」を受けるのは協力会