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空気静圧軸受けの設計法
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空気静圧軸受けの設計法
第二回「空気静圧軸受け設計のための基礎知識」
〒394-0011長野県岡谷市長地6147-5
Lab 72(技術コーディネイター)
TEL:0266-22-3546
FAX:0266-24-0879
URL: HYPERLINK http://www.lcv.ne.jp/~lab72/ http://www.lcv.ne.jp/~lab72/
e-mail: HYPERLINK mailto:lab72@po28.lcv.ne.jp lab72@po28.lcv.ne.jp
代表 村木 治一
1.基礎知識
空気静圧軸受けの仕様を決めるには、軸受けに要求されている全ての情報を集めることが最初の作業になる。すなわち、
軸受け剛性(単位:Kg/cm。Kg/cmを使うと大きな数値となり違和感が生じるので、表示するときはKg/μmを使うことが多い。軸受けを1cmあるいは1μm変位させる外力の大きさ)
軸受け負荷能力(軸受け負荷容量とも。単位:Kg。何Kgの外力に耐えられるか。軸受け剛性をある一定区間の軸受け隙間で積分したもの)
供給可能な空気圧力(単位:Kg/cm2。MPaを使って計算することはできない。MPaは必ずKg/cm2に換算してから計算に用いる)
軸受け直径(単位:cm。リング型スラスト<thrust:軸に平行に働く外力に対抗するための>軸受けなら外周および内周寸法。円板型スラスト軸受けなら直径。ラジアル<radial:軸の半径方向に働く外力に対抗するための>軸受けでは外周)
軸受け長さ(単位:cm。スラスト軸受けでは不要)…などの情報を集める。
次に、これらの情報と
「圧縮性流体についての非定常のレイノルズ方程式(Reynolds equation)」
を連立させて解を求めることにより、軸受け表面の単位面積当たりの圧力分布を求め、これを軸受け面全体で積分して軸受け負荷能力(Kg)を算出。その計算結果が、要求されている軸受け負荷能力(Kg)を満たしているかどうかを確認。満たしていれば、更に外力に対する圧力の摂動(せつどう:力学系における主要な力の作用によって生じる運動が、他の副次的な力の影響によって攪乱されること)より軸受け剛性(Kg/μm)を求め、この値が要求されている軸受け剛性(Kg/μm)を満たしているかどうかを確認する、と言うのが正式な方法になる。
しかし、この方法で軸受けの仕様を決めることは、大変煩雑でありかつ厄介な作業となる。幸いにも、アメリカ合衆国マサチューセッツ工科大学の研究チームなどが、様々な設計図表を40数年前から発表して来ており、これらの設計図表(たとえばRPI-MTI:Design of Gas Bearing‐1967年に発表されたものなど。これらの設計図表を以後MTI設計図表と呼ぶことにする)を利用することで、①から⑤までの情報を集めるところまでは同じ作業を行うことになるが、そのあとの複雑な連立方程式を解く作業を省いて、空気静圧軸受けの設計諸元を容易に決めることができるようになった。MTI設計図表を用いて予測した軸受け特性と、製作した軸受けから得られる検証データは驚くほど一致する。本稿でも、このMTI設計図表を使って軸受け特性を求める方法を解説するが、若干の制約がある。
具体的には、ラジアル軸受けの設計において軸受け長さをL(cm)、軸受け直径をD(cm)としたときの比をL/D比と呼んでいるが、L/D=1に関するMTI設計図表は十分公開されているのだが、L/D=1以外、例えばL/D=1.5、L/D=2などについてのMTI設計図表は、多少入手はできるものの、十分に公開されているとは言いがたい。
したがって、本稿で扱うラジアル空気静圧軸受けのL/D比は全て1である。但し、L/D=0.8~1.2の範囲では、本稿で解説する計算が適用できることを実機で確認している。図‐1.に参考資料としてL/D=1以外(L/D=1.5)のMTI設計図表を上げた。
このMTI図表は、「自成絞り(後述)1列(図中では単列)給気」と呼ばれるタイプのラジアル軸受け剛性(Kg/μm)を求めるためのものである。
MTI設計図表の使い方は、まず軸受け直径(cm)、軸受け長さ(cm)、給気圧力(Kg/cm2)などをもとに「給気係数(研究グループによって、ΓsやYsと言った記号が使われる)」を求める。給気係数を求める式は、それぞれのMTI設計図表に添えられているのでその式を使う。
次に、計算によって得られた給気係数の値を基に、MTI設計図表から「無次元軸受け剛性」の値を読み取る。「無次元軸受け剛性」(図‐1.ではkの上にバーが付けられた記号。バーが付いた記号はMTI設計
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