分 野医療福祉分野 テーマ②介護福祉機器に関す.PDFVIP

分 野：医療・福祉分野 テーマ②：介護・福祉機器に関する技術・製品の開発 １．現状と技術的課題 １．１．現状 ○ 2020 年には、都内で後期高齢者（75 歳以上）の数が前期高齢者の数を上回ると見込まれている。 ○ 都内における障害のある人の数も増加傾向にある。 ○ 高齢者や障害のある人の自立・社会参加・介護負担軽減によるＱＯＬ（生活の質）向上の重要性が増している。 １．２．テーマ共通の課題 （参考１、２） 本テーマでは、福祉用具法で定義される「福祉用具」について述べる。 ＜福祉用具法第2 条＞ 福祉用具とは、心身の機能が低下し日常生活を営むのに支障のある老人又は心身障害者の日常生活上の便宜を 図るための用具及びこれらの者の機能訓練のための用具並びに補装具をいう。 ○ 福祉用具の主な効果は、利用者自身によってできる生活動作が増え、自立や社会参加につながること、介護者の 介護動作の頻度や力の負担が軽減することである。そのため、どんな生活上の困難があるのか、福祉用具で解決 できるものなのかについて、利用者や介護者からの十分なニーズ調査に基づいた開発と、試作品を実際に試して もらうことが重要である。 ○ 用具、器具の小型化、軽量化、操作性、使い心地および使い易さも重要である。 ○ 手動車いす、電動車いす、在宅用電動介護用ベッド、入浴用いす等には福祉用具ＪＩＳマークが制定されている。ＪＩ Ｓマークが制定されていない品目については、安全性・品質管理の実証方法の検討が必要である。 ○ 福祉用具は、一人ひとりに合わせたオーダーメイドの用具が多いため、大量生産をするということは少なく、１点当 たりの価格が高く、コストダウンも重要な課題である。 ○ 介護保険法による介護用品、障害者総合支援法による補装具としての公的給付の適用に市場性が左右される面が ある。 ○ 介護保険の適用には、介護支援専門員(ケアマネージャー)等が作成する「介護サービス計画(ケアプラン)」に福祉 用具が必要との記載が必要である。 ２．代表的な技術・製品の例示 義肢・装具、パーソナルケア関連用具、移動機器、コミュニケーション機器、その他（介護従事者の負担軽減 に資する技術・製品等） ※代表的な技術・製品の例示は、機器の果たす機能を基準にして、ＩＳＯ9999 の分類を参考にして整理した。 また、薬事法上の医療機器にあたるものについては除外した。（医療・福祉分野③参照） ３．技術・製品開発の動向と課題 ３．１．義肢・装具 １）概要 「義肢」とは、上肢又は下肢の全部又は一部に欠損のある者に装着して、その欠損を補てんし、又はその欠損により 失われた機能を代替するための器具器械をいう。（義肢装具士法 第２条第１項） 「装具」とは、上肢若しくは下肢の全部若しくは一部又は体幹の機能に障害のある者に装着して、当該機能を回復させ、 若しくはその低下を抑制し、又は当該機能を補完するための器具器械をいう。 （義肢装具士法 第２条第２項） 義肢には、「義手」、「義足」等があり、 装具には、「上肢装具」や「下肢装具」、「体幹装具」等がある。 近年では、切断した腕の断端に残った筋肉を動かすことで発生する電気信号（筋電位信号）を利用して、モーターを 使ってものを「掴む」、「離す」という動作を行う「筋電義手」も実用化されている。課題としては、以下のようなものがある。 ・ 機能性とともに、利用者の心のケアも重要であり、限りなく「自然な状態」が求められる。 ・ 装具の概念を「足りない機能を補う」から「機能の回復を目指す」方向に変えることが望まれる。 （