日本でベンチャー起業を促進するために何が必要か？.PDFVIP

三田祭論文 日本でベンチャー起業を促進するために何が必要か？ 慶應義塾大学 玉田康成研究会 企業組織パート 飯村 マリエ、上田 晃平、加藤 友梨子、関 衿沙、藤田 小百合、寄高 創平 2013 年11 月 要旨 本稿では、日本のベンチャー起業率が他国に比べて著しく低いことに問題意識を持ち、 その原因を明らかにした上で、日本のベンチャー開業率を高めるような政策を提言した。1 章では、ベンチャー企業自体の特性を分析し、日本のベンチャー起業における課題を提示 した。2 章では資金調達の問題や、ベンチャー企業が与えうる外部性について理論的に議論 した。3 章ではパネルデータ分析を用いてIT 普及率や法人税率など、ベンチャー起業率に 影響を与えうる要因についての実証分析を行った。2 章、3 章から、日本のベンチャー起業 を促進するには、担保に頼らない金融、地理的メリットを活かした金融、起業家の信用度 を上げるような政策、知識のスピルオーバー効果を増幅させるような政策が必要であると 結論付けた。それをもとに 4 章では、日本でのベンチャー起業率を高める政策として、リ レーションシップバンキングの推進や、ベンチャー企業特区の推進を提言した。 目次 序章 1 章 日本のベンチャー企業を取り巻く現状と課題 1.1 本稿におけるベンチャー企業の位置づけ 1.1.1 ベンチャー企業の定義 1.1.2 どの段階のベンチャー企業にフォーカスするか 1.2 日本のベンチャー起業の現状 1.3 日本人の起業意識 1.4 資金調達と起業意識 1.4.1 創業期における課題としての資金調達 1.4.2 ベンチャーキャピタルとは 1.4.3 VC のビジネスモデル 1.4.4 組織形態の比較 1.4.5 出資者の比較 1.4.6 創業期における資金調達先の比較 1.5 政府の援助と起業意識 1.6 起業活動に対する心理的要因 1.7 現在抱えている主な問題 1.8 ベンチャー企業の特性 2 章 ベンチャー起業に影響を与える要因についての理論的分析 A. 資金調達面 2.1 プリンシパル＝エージェント問題 2.1.1 本稿で扱うプリンシパル＝エージェント問題 2.1.2 投資家と企業間の情報の非対称性 2.2 段階的投資 2.3 アドバースセレクションとその解決方法 2.3.1 アドバースセレクション 2.3.2 アドバースセレクションの解決方法 2.4 モラルハザードとその解決方法 2.4.1 モラルハザード 2.4.2 モラルハザードの解決方法 2.5 日米比較 2.5.1 担保とベンチャー企業 2 2.5.2 段階的投資とベンチャー企業 2.5.3 まとめ 2.6 リレーションシップバンキング 2.6.1 リレーションシップバンキングとモラルハザード 2.6.2 リレーションシップバンキングとアドバースセレクション 2.6.3 リレーションシップバンキングとベンチャー企業 B. その他の要因 2.7 ベンチャー企業が与えうる外部性 2.7.1 知識のスピルオーバー効果 2.7.2 ネットワーク外部性 ネットワーク外部性とクリティカルマス ネットワーク外部性がベンチャー起業に与える影響 2.8 補助金投入と法人税減税の経済効果 2.8.1 完全競争市場における補助金（減税）の効果 2.8.2 外部性が存在するときの補助金（減税）の効果 2.8.3 政府の失敗 2.9 法人税投資減税の経済効果 2.9.1 法人税が課税されないケース 2.9.2 法人税の標準課税 2.9.3 法人税投資減税が実行された場合 2.9.4 法人税投資減税がベンチャー起業に