一般财団法人油脂工业会馆第47回表彰油.PDFVIP

一 般 財 団 法 油人脂 工業 会 館 第 4 7 回 表 彰 油 脂 産 業 優 秀 論 文 審査委員特別賞 地域活性化と油脂産業 株式会社ＡＤＥＫＡ きむら けいいち 木村 圭一 目 次 はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・１ 第１章 茶業を取り巻く地域の現状と課題 １－１ 茶業の実情・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・２ １－２ 茶業を取り巻く地域がかかえる課題・・・・・・・・・・・・・・２ 第２章 茶業を取り巻く地域の活性化へ貢献する油脂産業の果たす役割 ２－１ 茶業と油脂産業との関わり・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・３ ２－２ 必須脂肪酸・不飽和脂肪酸高含有茶資源“茶の実”の利用・・・・４ ２－３ 複合脂質高含有茶資源“茶殻”の利用・・・・・・・・・・・・・４ ２－４ 地域活性化の立役者‘CHA’PANESE OIL （チャパニーズオイル）・・・５ 第３章 茶業の復権を担う眠れる茶資源の利用 ３－１ 茶資源の生産状況・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・５ ３－２ 耕作放棄地の活用と想定される茶資源の産出量（概算）・・・・・・５ 第４章 油脂産業と異業種との連携 ４－１ 医薬品業界との連携・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・７ ４－２‘CHA ’PANESE OIL の可能性 ・・・・・・・・・・・・・・・７ 第５章 茶業の発展に向けた産学官連携による地域活性化 ５－１‘CHA ’PANESE OIL PROJECT の概要・・・・・・・・・・・９ ５－２ 茶業の活性化への課題と将来の見通し ・・・ ・・・・・・・・・１０ おわりに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・１０ 参考文献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・１１ はじめに 2013 年 12 月 4 日、日本政府が提案していた「和食；日本人の伝統的な食文化」 が、国連教育科学文化機関（ユネスコ）の無形文化遺産に登録された 1)。興味深 い点は、和食の具体的な内容やメニューが無形文化遺産に登録された、というわ けではなく、『「自然の尊重」という日本人の精神を体現した、食に関する社会的 慣習としての和食』が認められた点にある（図１）。そして日本は、その和食を世 界に広めるため 2015 年 5 月 1 日からイタリア・ミラノで開催されているミラノ 国際博覧会に、「Harmonious Diversity －共存する多様性－」をテーマに参加し 2) ている 。豊かな日本の食文化、自然との調和や共生を大切にする、‘日本人の心’ を世界に発信する絶好の機会である。このミラノ万博の開会式では、茶道裏千家 （京都市）千宗室家元らがテープカットし、また7 月 11 日には参加各国の要人を 招き開催した日本館のレセプションでは、静岡のお茶がソフトドリンクとして振 舞われている。すなわち、 日本人の精神を体現した和食と切っても切れない関係 にあるものの一つに、お茶がある。 お茶に関する最近の動向としては、日本国内では 2011 年 4 月に、茶業の活性 化を図ることを目的とし、「お茶の振興に関する法律」が制定、2012 年 4 月に「茶 業及びお茶の文化