丸山幸三.PDF

小学校教育課程におけるプログラミング教育の考察　11 小学校教育課程におけるプログラミング教育の考察 －プログラミング教育に最適なプログラミング言語－ Study of programming education in elementary school curriculum －Optimum programming language to programming education－ 丸　山　幸　三 Kozo Maruyama １．はじめに 　小学校において、平成23年４月より全面施行となった新学習指導要領では、「「生きる力」を育むと いう理念のもと、知識や技能の習得とともに思考力・判断力・表現力などの育成を重視する」１） と している。 　新学習指導要領では、ICTや情報化というキーワードが随所に用いられている。これは文部科学省 が、教育の情報化ビジョンにて21世紀に生きる子どもたちに求められる力として、「情報及び情報手 段を主体的に選択し活用していくための個人の基礎的な資質が、読み、書き、算盤に並ぶ基礎・基本 と位置付けられた」２）事によるものと考える。教育の情報化に関しては、子ども達の情報活用能力 の育成のみならず、教科指導においても情報通信技術を効果的に活用した分りやすい授業、さらに、 校務の情報化による教職員の校務負担の軽減に至るまで、教育インフラ全ての面において情報通信技 術の効果的な活用を目的としている。このような状況の中、2013年6月に、政府は経済政策「アベノ ミクス」の「３本目の矢」として発表した成長戦略の素案では「義務教育段階からのプログラミング 教育等の IT 教育を推進する」 ３） としている。すでに中学校では、平成24年度に完全実施となった新 学習指導要領でプログラミング教育が技術家庭科に取り込まれおり、小学校においても近い将来情報 教育の一環として取り入れられる可能性が高い。 　本研究では、小学校教育課程におけるプログラミング教育の役割を明確にし、今後、プログラミン グ教育が本格的に実施されるようになった場合に重要となるプログラミング言語について、その機能 と特徴を整理し、教育資源としての有用性を考察する。 ２．プログラムとは 　プログラムとは、端的に言うと、コンピュータが人に代わって仕事をするためのアルゴリズムの集 12　近畿大学豊岡短期大学論集　第11号（2014） 合である。人間が仕事をこなす場合においては、自己の持つ知識や経験を基に課題を解決することが 可能であるが、今現在のコンピュータにはそのような知能は持ち合わせていない。従って、課題の解 決手順をプログラムという形でコンピュータに人間が指示を与える必要がある。 　プログラムデータは通常、プログラミング言語と呼ばれる独自のルールに基づいて書かれたテキス トデータの集合である。このプログラミング言語は、人間社会における言語が国によって異なる事と 同様に、動作させるコンピュータの種類や作成するソフトウェアの種類に応じて多数存在する。現在 主に利用されているプログラム言語には、C、FORTRAN、COBOL、JAVA、BASIC、JavaScriptな どがある。プログラムは人間側から見ると理解しやすい形式になっているが、コンピュータにはその ままの形では理解させることができない。そのため、プログラムはコンパイルと呼ばれる変換処理を 経て機械語に翻訳し、コンピュータに理解させる。この機械語に変換だれたものがソフトウェアであ る。つまり、プログラムを作成するための言語は多数存在するが、コンピュータ上で実行される際に は、コンパイル（翻訳）することで全て同一の形に変換されていることになる。このコンパイルと呼 ばれる変換処理は、例えるなら他国語を日本語に訳すことと考えれば理解しやすい。 ３．小学校教育課程におけるプログラミング教育の役割 　プログラミングとは、人が何らかの目的をもってコンピュータに仕事をさせるための指示書をプロ グラ