大阪府保健医疗计画大阪市圏域版.doc

（１）大阪市医療圏におけるがんの保健医療体制 （ⅰ）圏域におけるがんの状況 本医療圏と府全域のがんの年齢調整死亡率（表8―1―1）を比較すると、全部位で大阪府が男性214.1、女性104.5に対し、大阪市が男性227.8、女性111.5と男女とも府全域より高い。　　　　部位別では、男性は肺、胃、肝臓、女性は肺、大腸、胃の順に死亡率が高く、ほとんどの部位で府全域と比較して高い。　　 また、大阪市の特徴として、男性、女性ともに肝臓がん、肺がんの死亡率が高い。 表８―1―1　がんの年齢調整死亡率（平成19－21年）（％） 全部位 食道 胃 大腸 肝臓 胆のう 膵 気管 気管支肺 乳房 子宮 白血病 男 大阪市 227.8 12.2 35.2 24.9 34.3 7.1 13.4 55.8 - - 4.5 大阪府 214.1 10.8 34.1 23.0 29.5 7.1 13.2 52.0 - - 4.8 女 大阪市 111.5 2.2 13.4 14.1 11.4 4.9 8.6 16.5 12.2 5.4 2.6 大阪府 104.5 1.7 12.8 13.3 9.8 4.7 8.1 14.6 12.1 5.2 2.5 　　大阪府における成人病統計64報 （ⅱ）がんの予防 （ア）たばこ対策 大阪市では、「全ての市民がすこやかで心豊かに生活できる活力あるまち?健康都市大阪」の実現をめざして、平成13年度を初年度とした10カ年計画である健康増進計画「すこやか大阪21」を策定し、市民の健康づくりのための環境整備を進めている。この計画では、「たばこ対策」を課題のひとつとして位置付け、1喫煙の及ぼす健康影響についての知識の普及、2未成年者の喫煙防止、　　3受動喫煙防止対策の推進、4禁煙支援の4つの対策を柱とし、喫煙率の半減を目指している。 特に、女性の喫煙率はほとんど減少しておらず、妊娠時の喫煙は胎児への重大な影響が指摘されており、若い女性への禁煙啓発を重点的に進めていく必要がある。 また、健康増進法第25条を踏まえ、市民病院、市立学校園において敷地内全面禁煙を実施している。平成24年6月に策定された「がん対策推進基本計画」では、行政機関や医療機関は受動喫煙の機会を有する者の割合を0％とすることが目標とされた。大阪市内の病院の「敷地内禁煙」と「建物内禁煙」を合わせた禁煙化率は年度とともに増加し、平成23年度の禁煙化率は84％であった（大阪市健康局調べ）。今後、禁煙化できていない病院に対し、病院として主体的に禁煙化に取り組むよう働きかける必要がある。 大阪市では、平成19年4月「路上喫煙の防止に関する条例」を施行し、公共の場所では喫煙をしないように努める義務を課すとともに、「路上喫煙禁止地区」に指定された地域では、違反者に対し、科料を科すこととし受動喫煙防止に向けた環境整備を進めている。 　（イ）生活習慣病対策 大阪市では、健康増進計画「すこやか大阪21」に基づき、がんをはじめとする生活習慣病の予防に取り組んでいる。特に大阪市の壮年期の死因の第一位はがんである。がんと生活習慣要因は、喫煙、飲酒、食生活（食塩?果物?野菜摂取）、身体活動、肥満である。大阪市民の健康指標である　　　　　　「壮年期死亡」「健康寿命」を改善するため、次のことに重点的に取り組むこととした。取組むべき課題として「喫煙率の減少」「肥満者の減少」「運動習慣者の増加」を設定し、特に改善が必要な性?年齢階級別に対する対策を進めることにより、効果的な事業実施につなげる。 また乳がん、子宮がんの若年層の罹患率が上昇していることから、「女性のための健康情報」を　　大阪市のホームページに作成し、インターネットを通じた情報提供を行っている。 　（ウ）予防接種 　　子宮頸がん予防について、子宮頸がん予防ワクチン接種による予防効果が認められており、大阪市では、平成23年2月から中1から高１の女性市民を対象に、保護者の同意に基づく任意予防接種を無料で実施している。今後、国において定期接種としての予防措置が講じられる予定であり、接種をさらに広めていくことが望まれる。 （ⅲ）がんの早期発見 　（ア）がん検診 大阪市が行うがん検診は、各区保健福祉センター等で行う集団検診と、取扱医療機関で行う個別検診があり、がん検診の実施状況は表８―1―2のとおりである。　がんによる死亡を減少させるためには、より早期のがんを発見できる高い精度の検診を、広く市民に受けていただくことが重要であり、がん検診受診率向上に向け、継続したキャンペーンを実施していく必要がある。 また、乳がんマンモグラフィ検診を夜間に実施するなど、受診しやすい検診について検討を進めていく。また、保健師等医療スタッフが、精密検