墨书土器村落祭祀论序说-j-stage.pdfVIP

墨書土器村落祭祀論序説 墨 書土器村 落祭 祀論序説 高 島 英 之 は じめに 4人面墨書土器 1祭祀記号墨書土器 5村の堂 と墨書土器 2祭祀内容記載墨書土器 6御歳神祭祀 と墨書土器 3「地名 ・人名」記載墨書土器 結びにかえて 論 文 要 旨 集落遺跡出土の墨書 ・刻書土器 は,村落の内部における祭祀 ・儀礼等の行為に伴 って使用 された ものである。土器 に墨書す る行為は,日常什器 とは異なるとい う非 日常の標識 を施す ことであ り, 祭祀用に用いる土器を 日常什器 と区別 し,疫神 ・祟 り神 ・悪霊 ・鬼等を含んだ意味においての 神「 仏」に属す る器であることを明記 したものであると言える。 墨書土器 は,集落全体,も しくは集落内の1単位集団内,或 いはより狭 く単位集団内におけると ころの1住居単位 内といった非常に限定 された空間 ・人的関係の中における祭祀や儀礼行為に伴 っ て使用 されたものであ り,記された文字の有す る意味は,おそ らくそれぞれの限定 された空間や集 団内において共通す る祭儀方式の中でのみ通用す るものであ り,個々が多様な時間的 ・空間的広が りの中で機能 した と考え られ る。 文字を呪術的なもの として受容 した ところに,古代の在地社会 の特質があるわけであ り,祭具 と して東国を中心 とす る在地社会に浸透 していったと見 られ るのである。 キーワー ド 対象時代 古代(奈 良 ・平安時代) 対象地域 東 日本 研究対象 墨書土器,村 落,祭 祀 53 日本考古学 第9号 り神 ・悪霊 ・鬼等 を含 んだ意味においての 神「仏」に属 は じめに す る器であることを明記 したもの と言 うことになろ う。 以下では,厳 しい資料的制約の中で どこまで具体像が 近年の全国各地における大規模開発事業に伴 う埋蔵文 描 き出せ るか,甚 だ心許ない ところであるが,律令制下 化財緊急発掘調査の爆発的急増の結果,8・9世 紀 を中 の東国村落における祭祀 ・儀礼等行為の諸様相 について 心 とす る集落遺跡か ら多種多様 な文字資料が出土 し,古 墨書土器 を素材に探ってみ ることに したい。 なお便宜的 代の村落社会の究明に重要な視角を提供 していることは, に,刻書土器 をも含 めた概念 として,以下では 墨「書土 つ とに知 られてい る通 りである。ただ,それ らの一つ一 器」 とい う用語を いることにす る。 つは,余 りにも断片的であ り,個々の資料 に記 された文 字の意味や用途等 を確定す ることが難 しく,出土文字資 1祭祀記号墨書土器 料 を使 った古代村落研究は,出土量の膨大さとは裏腹に, 資料操作の困難 さ故,未 だ多 くの問題を抱えているとい 序で も述べたよ うに,こ うした奈良 ・平安時代の集落 うのが現状である。 とは,言 うものの,各 々の出土文字 遺跡か ら出土