新泻与板槇原産油地油井状况と含油层々位に就て-J-Stage.PDFVIP

新 潟 縣 與板,槇 原産 油 地油 井状 況 と含 油層 々位 に就 て 石 田 義 雄 目 次 1.概 要 2.試掘獎勵井 とザ ク層 3.地質層位 に就 て 4.椎谷層上部 に挾在す る黑色頁岩層 5.與板産油地油〓 に就て 1.概 要 大正5年9月口 式1號井開鑿後 同11年に至 る間9井 を掘鑿 し,一時小油 田 たるやの觀あ りし新潟縣三嶋郡與板産油地(日本鑛業會社事業地)は深度600 米内外の含油層以下約100米にて所謂ザ ク層の爲 め深掘不可能 とな りしは周 知 に屬せ り。其後昭和3年試掘獎勵 井ロ式1號 井 を再掘 し,種々研究施設の 下に鋭意難掘層突破 に努力 したるも,漸 く深度810米に達 したるのみにて奏 效せず,掘鑿 中止の運命 に邂逅せ しは,新油 田發見の遲 々た る今 日甚だ遺憾 となす所た り。 然れ ども昭和6年 本地の西南約2哩 に發達せ る同一系統褶 曲たる槇原背斜 (中央油帶東方副背斜,即 七 日市油帶の最隆起部の西翼上 を選び深層油〓探 鑛 を試みたる結果,本 地域 に於て從來推谷層 と認定せ る地層々位 に關 し,新 事實 と認 め らるる諸材料 を得たるを以て,茲 に試掘獎勵 井の状況 を概述 し, 其層位學上に貢獻せ る效果 の輕々看過すべか らざるを稱へ,併せて與板及槇 原附近に於 ける地質關係 を略記 し,將來油 田開發 の研究資料 となぜ り. -38- 新潟縣與板 槇原産油地油井状況 と含油層々位 に就 て 39 2.試 掘獎勵 井 とザ ク層 獎勵井口式1號 井は與板産油地最初の出油井たる舊 ロ式1號 井の南方約 180米の對麓に位置 し,背斜軸の稍々西翼にあ り,坑井地質 は深度300米内 外迄は中越統 中部層たる灰色頁岩層(新 第三紀層 中部の上部),以下深度600 米内外迄は灰色頁岩 と硬軟砂岩及凝灰質砂岩 の互層 に して厚 さ約300米,而 して以下暗灰色頁岩層 とな り,深度720米にて所謂ザ ク層の本體 出現 し難掘 に陷れ り。該ザク層に就 き嘗て大村理學士が石油時報(昭 和7年11月號)誌 上に詳細なる研究 を發表せ られた るが,本坑井に於けるザク層に對 し與板町 の試掘地に於て遭遇せ るザク層は層位 に對 し多少疑義あるも,岩質は頸城統 のもの と同様黑色頁岩 なるを以て,大體 同一層位 と考へ らると同學士は述べ られた るも該層位 に對す る新材料 は以下記述の如 く重要なる意義 を有せ り。 即獎勵井 に於 けるザ ク層は黑色頁岩層 に掘進 し,約100米内外にて其本質 を現 し來 り,採取せ る岩心 より之を驗す るに軟質黑色頁岩 中に淡暗灰色中硬 質の角礫状破碎岩屑 を混入 し居れ るを以て,ザ ク層の性能たる崩壞及壓 出現 象は同學士論説成因(2)の如 く背斜褶 曲による層間破碎作用に加ふ るに地壓 に因る褶曲頂部附近に於 ける軟質黑色頁岩層 の可塑性膨隆作用 によるもの と 認め らる。而 して槇原産油地背斜軸の西方約180米の翼上に獎勵井に依 り深 度1,211米の試掘 をな したる結果,深度 自440米至610米間黑色頁岩層 とな り屡々難掘状態 を呈せ るも,與板坑井 に比 し容易に掘鑿 し得たるが,其岩心 を驗す るに與板 に於 けるものに比 し,地下に於て破碎 作用 を受 くる程度少 く, 比較的容易 に該黑 色頁岩層(厚 さ約170米)を掘鑿 し得たるは,坑井位置が, 背斜軸頂 を可成 り距 りたる翼上にあ りたる關係(單 に層間破碎 作用のみ)に 基 くもの と考へ らる。而 して之を與板試井に對比す るに,同坑井にては黑色 -3