热带土壤概说10.PDFVIP

l川 熱帯土壌概説(10) 有光一登 アンドソル アンドソルは日本語の暗土に由来する。これは FAO/Unesco世界土壌図の土壌 単位に日本語が取り入れられている唯一の例である。アンドソルは火山ガラスに富む 物質から形成された一般に暗色の表層をもっ土壌を意味する。この土壌は，熱帯や亜 熱帯に限って分布するフェラルソルやアクリソルとは違って，熱帯にだけでなく温帯 や寒帯にも出現する。火山放出物を母材とする場合が多いので，火山活動のみられる 地域に主として分布する。環太平洋地域の火山帯に沿って， 南北アメリカ大陸西岸， 中米，アラスカ，カムチャッカ， 日本，東南アジア，パプアニューギニア，ニュージ ーランド，ハワイ等に分布するほか，中部アフリカ， ヨーロッパではイタリア，ルー マニアなどにも分布する。熱帯ではフィリピンのルソン島， ミン夕、ナオ島など，イン ドネシアのスマトラ島， ジャワ島，スラウェシ島など，パプアニューギニア，中米の メキシコ，グアテマラ，エルサルパドル，ホンヂュラス，ニカラグア， コスタリカ， パナマ，南米のエクアドル，コロンビア，ベルー，アフリカ大陸ではカメルーン，ザ イール，ウガンダ， タンザニア，ケニア，エチオピア等に分布する。 FAO/Unesco世界土壌図の凡例の解説には，アンドソルは次のように定義されて いる。 モリック A 層あるいはアンプリック A 層を持っか，またはオークリック A 層と カンピック B層があり，その他の特徴層位を持たず， 35cm以上にわたって下記の いずれか一つ，あるいは双方の性質を持つ。 3 (a) 1/3ノてール水分保持の状態で細土 (2mm以下)の容積重が 0.85g/cmよ り軽く，交換複合体が非品質物で占められている。 (b) 微砂，砂，磯の中に 60%以上のガラス質の火山灰，噴石その他ガラス質火 山砕屑物を含む。 また，表層 50cm以内に水成的な性質を持たず， ヴァーティソルの性質を持たず， 塩分を多く含まない。 以上の定義の中に出てくる用語で，これまでに説明しなかったものについて，ふれ ておくことにする。 モリック A層はこのシリ ーズの4回目に簡単に説明したアンブリック A層と同 じ土色，有機物含量， リン酸含量，構造，厚さの規定を満足し暗色で，有機物に富む が，塩基飽和度が 50%以上である点がアンプリック A層と異なる。 カンピック B層は，粘土の移動集積したアルジリック B層，ナトリウム塩の集積 ARIMITSU，Kazuto:SoilsintheTropics(10)Andosols 農林水産省林業試験場土壌部 熱帯林業 No.10(1987) 59 ①熱帯林業講座①山111111山川川川 したナトリック B層，鉄，アルミニウム，腐植などが集積したスポディック B層な どのような，物質の明瞭な集積はみられないが，土壌が形成される過程で，ある程度 の変化を受けた層である。この変化は， 土壌粒子が母材に比べて細かいこと，構造が 形成されていること，相当量の易風化鉱物を含んでいること，下層より土色の彩度が 強く色相が赤いこと，還元状態を示す証拠があること，などによって判別される。 11/3ノてール水分保持の状態」というのは，土壌中に 1/3ノてール以上の張力で保持 されている水しか存在しない状態である。圃場容水量(十分な降水の 1~2 日後，重 力による水の下降移動量が非常に少なくなった ときの水分量)は，大体O.05~0. 1パ ール相当の張力でt土壌に保持されると考えられるので， 1/3パール水分保持の状態は それよりやや乾いた状態である。 「綿土の容積重」は土壌の固体部分の中で，根や 2mm以上の磯を除いた部分の 重量を，その部分の占める容積でわって，単位容積当りの重量としてあらわしたもの である。土壌の乾燥状態でこの値は変わるので， ここでは1/3パール水分保持の状態 での値を用いているのである。 交換複合体が非品質物に富む「