岩石矶物矿床学会志.pdf

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岩石矶物矿床学会志

岩石磯物礦床學會誌 第 三十 二 巻 第 二號 (昭和十九年八月一B) 研 究 報 文 幅島縣飯坂村附近のべケマタイト岩脈に産する 稀元素礦物輝水鉛礦 Molybdenite, a rare-element mineral, from the Iizaka pegmatite dykes, Abukuma plateau. 理學博士 大 森 啓 一(KOhmori) 緒 副 福島縣伊達郡川俣町に隣接した飯坂村及び小島村に多敷のペグマタイト 岩脈があり,目下石英を採堀して居る。 このペグマタイト岩脈は又種々の 稀元素礦物を産するので飯坂村ペグマタイトとして著名である。最近この 稀元素陵物の調査を行つたところ,輝水鉛礦の産出することを知つたので, 以下に簡單に産出状態と礦物學的性質を蓮べる。 本調査は地下資源緊急開發調査の一部として行はれたものである。調査 に際して種々の御便宜を辱うせる東北地方鑛山局,川 俣警察署並びに川俣 町役場の各位に して深謝の意を表する。省京都帝大田久保教授の御指導 に依って當地産稀元素磯物を採集調査せられた同帝大學生繁澤和夫氏は本 調査に熱心に盡力された。こヽに記して謝意を表する。 輝水鉛礦の産状と性質 位置及び交通 福島縣川俣町は阿武隈準雫原の大略中央に位置する。幅島 市の東南方直距約15粁 にあり,福 島より省螢バスにて約一時間牛にして 本42(2)岩石 礦 物 礦 床 學 會 誌總50 達する。もとは別に東北本線松川より飯野を經て川俣に至る川俣線があつ たが,この支線は最近慶出になつた。 省螢バスは幅島市の東方渡利にて阿武隈川を横斷 し,之 より阿武隈川に 沿て漸時南下し,中山發電所附近にて東南に方向を轉じて山中に入り,立子 山村を経て青木村千貫森(標 高462。5米)の 南麓を東に進み,富田村を経て 川俣町に達する。 この間の地質は主として花崗閃緑岩であるが,途 中中山 西方及び立子山村にて本岩上を被つた集塊岩が見られる。 地質概略 川俣町附近を構成する岩石は花崗閃緑岩で,本岩に三種の別が ある。その一つは閃雲花崗閃緑岩で,他 は黒雲母花崗閃緑岩及び斑状花崗 閃緑岩であろ。 閃雲花崗閃緑岩は當地附近で最も分布の廣い岩石である。一般に粗粒 で肉眼的の角閃石と黒雲母が存在する。所に依 り片状構造が認められ,又 シュリィレン恐數多く存する。鏡下に観察し舟結果より ,本岩の少くとも 一部には混生岩が存在するものと考へらる 。閃雲花崗閃緑岩は主として川 俣町西方に分布する。 黒雲母花崗閃緑岩は川俣町の東方に露出する。この分布は上記閃雲花崗 閃緑岩に較べると遙かに狭く,又一般に片構 造は見られない。閃雲花崗 閃緑岩より後期に 入したものの如くである。 斑状花崗閃緑岩は此等兩種花崗閃緑岩の間を貫いて,川 俣町の北旅 露 出する。分布は小鞭 である。斑状結晶は石英及びバーサイ トである 。 ペグマタイト岩脈はこの斑状花崗閃緑岩を貫き念珠状に磯達する 。 又ペグマタイト岩脈を更に玄武岩質岩脈が貫いてゐる.本 岩脈の現出状 態はペグマタイトを採堀中の抗内及び地表の各所で顴察出來る

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