鋼管杭-その設計と施工- 第1編 概要.pdf

鋼管杭－その設計と施工－

第１編概要

改訂13版©2023JASPP

鋼管杭－その設計と施工－

第1編概要

第１編概要１-1

1.1鋼杭の沿革１-1

1.2鋼管杭の主な種類と施工法１-2

1.2.1支持形式による杭基礎の分類１-2

1.2.2杭の種類による分類１-2

1.2.3杭の施工法による分類１-7

1.3鋼管杭の特長１-10

1.4鋼管杭の設計・施工に関する基準等１-11

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鋼管杭－その設計と施工－第1編1.1鋼杭の沿革

第１編概要

1.1鋼杭の沿革

鉄を材料とする杭を構造物の基礎とすることは、外国では、製鋼法の発達する100年以上前の錬鉄の時代

から行われていたといわれる。もちろんその時代の鉄杭はごく特殊な目的のためのものであって、今日のよ

うに基礎工法の基本形式の1つとして取り入れられたわけではない。

当初、鋼杭は錬鉄棒、鋳鉄棒を用い、上部構造等との取り付け部分は、専らボルト締めであった。その後、

製鋼技術が進んでレール材や形鋼材が生産されるようになると、加工の容易な鋼材が好んで用いられるよう

になり、初めは、普通の形鋼そのままの断面が杭に使われていた。

－）

錬鉄管や鋳鉄管、レールなどを打ち込んだという記載がChellisの本1.11などに見られる。1900年ごろ

には、山形鋼や溝形鋼を箱形断面、またはH形断面に組んだ合成断面、あるいはパイプ断面が利用されるよ

うになった。しかし、既存の形鋼製品等は断面性能が比較的小さく不経済であった。

このような欠点を改良する目的から、H形断面の鋼杭が杭材として性能が良いことに注目し、アメリカで

は1908年からBethlehemSteelおよびCarnegieSteelが杭専用の鋼材として、厚肉のH形断面の圧延製

作を開始した。このことは鋼杭工法の普及をいっそう刺激し、それから約20年間にアメリカではミシシッ

ピー川にかけられた鉄橋でも、鋼杭式の基礎が多く建設されている。

1930年ごろからヨーロッパでも鋼杭が普及し、橋脚ばかりでなく、高層建築の基礎杭としても使われ始め

た。不同沈下の影響を受け易い高層の建築物では、沈下を生じないように支持層に打ち込むことが可能な鋼

杭が、特に重宝されるようになった。さらに桟橋、ドルフィンなどのように、背が高くて横荷重を受ける構

造物の杭材料としても、鋼杭が盛んに利用されるようになった。

わが国で鋼杭が構造物の基礎として、あるいは主構造物の一部として本格的に使われだしたのは、70年前

頃である。経済・産業の発展に伴い都市開発や社会資本整備が急速に進行し、道路・橋梁、港湾・河川、治

山・治水および建築分野において、打撃工法を主体として鋼管杭が使われる機会が急増した。

一方で、1968年（昭和43年）に騒音規制法が、1976年（昭和51年）に振動規制法が施行され、特に市街

地においては低騒音・低振動工法が求められるようになるとともに、建設発生土が環境面に及ぼす影響を懸

念し低排土工法が求められてきた。そのため、打撃工法に代わり、埋め込み杭工法に分類される中掘り杭工

法の需要が増加するようになり、杭先端に鉄筋や平鋼等が加工された鋼管杭が使用された。このように、鋼

管杭は、社会のニーズに応えるべく開発されてきた様々な施工方法に応じて、それらの性能が発揮できるよ

うにその仕様を変化させてきた。1990年代には、鋼管ソイルセメント杭工法に用いる外面突起（リブ）付き

鋼管が、また、2000年頃