不登校の無支援児童生徒への支援の取組み訪問カウンセリング事業を通した実践的考察.PDFVIP

不登校の無支援児童生徒への支援の取組み － 訪問カウンセリング事業を通した実践的考察 － 和田百合子・金沢　　晃 美作大学・美作大学短期大学部紀要（通巻第59号抜刷） 美作大学・美作大学短期大学部紀要 　2014，Vol．59．71～78 報告・資料・研究ノート 不登校の無支援児童生徒への支援の取組み － 訪問カウンセリング事業を通した実践的考察 － Supporting school refusing children and their parents who tend to refuse teachers and consultation offices: A practical analysis through a school visiting counselling project １ ２ 和田百合子 ・金沢　　晃 　キーワード ：訪問カウンセリング事業、不登校、無支援、行政の力、事例化、無支援リング 報告の趣旨 基盤の上に検討される。 　学生相談室の事例においては、小学校、中学校、高 　大学は専門性と経験を活かして地域に貢献すること 等学校で、長期間不登校を体験し、本学入学を契機に が求められている。この一環として訪問カウンセリン 徐々に教室で授業を受講できるようになり、初めて学 グ事業に大学の教員が参加して、地域の不登校の「無 校に来ることの楽しさを体験して卒業する事例があ 支援」事例に対して、支援の取組みを行った。本報告 る。このような大学生たちに当時の不登校の体験を言 は、平成22年度から平成24年度までの３年間の事業を 語化する作業を行っていると、「自分でも理由はわか 通した実践的な考察を、臨床心理学を専門とする大学 らなかった」「とにかく教室の音が苦痛でたまらなかっ 教員であり、学校を訪問したカウンセラーでもある立 た」「友人関係に一度躓いて恐怖感が激しく集団の場 場から纏めるものである。 面に行けなかった」という発言を聞くことが多い。不 　本報告は、以下の内容から構成される。 安や恐怖感にさいなまれた状況では、緊急避難的に不 訪問カウンセラーとは 登校という方法をとらざるを得なかったことが、納得 １、訪問カウンセラーの立場 できる。このことは、不登校状態を放置すればよいと ２、訪問カウンセラーの活動 いうことを示唆しているのではなく、苦境にある当事 訪問カウンセリング事業を適合化する工夫 者には、教育上の配慮や心のケアが必要であったと考 １、「無支援」の定義 えられる。 ２、チームの構成 　しかし、不登校の児童生徒の中には、少数であるが、 ３、無支援事例の項目を加えた月別長期欠席調査票の 本人、保護者が学校関係者との面談を長期間拒否して 提出とチーム会議 おり、かつ学校内外の相談機関ないし医療機関の利用 ４、スクールカウンセラーが配置されていない小学校 もない事例で、かつ、虐待が確認されない「無支援」 への積極的な支援とスクールカウンセラーが配置 事例がある。児童生徒が低年齢であれば、本人が自力 されている中学校への支援 で学校に復帰することは容易ではない。これらの事例 ５、広報から実施後アンケートまでの流れと記録用紙 では、児童生徒の安全の確認や学校や社会