森安《蒙古國現存遺址碑文調查報告》1.pdf

Titleモンゴル国現存遺蹟・碑文調査研究報告 Author(s)森安, 孝夫; オチル Citation Issue Date Text Versionpublisher URL /11094/20780 DOI Rights Osaka University モンゴル国現存遺蹟 ・碑文調査研究報告 責任編集 森 安 孝 夫 ・ オ チ ル 中央ユーラシア学研究会 1999年3月 PROVISIONALREPORTOFRESEARCHESON HISTORICALSITESANDINSCRIPTIONS INMONGOLIAFROM1996TO1998 Editedby TakaoMORIYASUandAyudaiOCHIR TheSocietyofCentralEurasianStudies 1999 は し が き 突厥(6～8世 紀)・ ウイグル(8～9世 紀)・ モンゴル帝国(13～14世 紀)は,い ずれも現モンゴル国に属するモ ンゴル高原をその本拠としつつ,火 薬革命以前の前近代ユーラシア世界の広範な地域にわたって大きな影響力 ・支配を 及ぼした遊牧騎馬民族国家である.こ れらの遊牧騎馬民族国家が,そ の本拠であるモンゴル高原に残した遣蹟 ・碑文な どのきわめて重要な考古資料 ・文献資料は,20世 紀初頭に初めて発表されて以降,旧 ソヴィエ ト連邦の影響下にあっ て,世 界の学界にはきわめて不十分な形でしか公開されてこなかった.し かしながら,近 年の自由化に伴うモンゴル国 と日本との国際的学術交流の活性化により,こ れらの遺蹟 ・碑文等を直接調査 し,従 来の研究を検証 ・深化させる機運 が高まりつつある.こ のような状況の中,森 安孝夫 ・松田孝一および松川節は,1994年 夏,モ ンゴル国に赴いて予備 調査を実施し,さ らにモンゴル国科学アカデミー歴史研究所のオチル(A.OqHP)所 長と綿密な協議を行ない,同 研究所 の全面的協力を得る手続 きを完了させた. の立地調査ならびに碑銘の再解読を行ない,歴 史学的 ・文献学的研究の基礎作業をめざしたものである.日 本側研究者 によるこのよう、な実地調査 ・碑文現物再解読 は,近 年のモンゴル国自由化以降も初めてのことである.研 究組織 として は,6～14世 紀にわたる古代 ・中世 トルコ民族史を専攻 とする森安を研究代表者とし,突 厥 ・ウイグル史を専攻する林 俊雄 ・片山章雄 ・大澤孝,突 厥 ・ウイグルと密接な関係を持つソグド人の言語 ・文化を専攻する吉田豊,さ らにモンゴ ル帝国史を専攻する松田 ・杉山正明 ・村岡倫 ・宇野伸浩 ・松川 ・中村淳 ・松井太が研究分担者 として加 わった.一 方, モンゴル側からは,モ ンゴル民族史専攻のオチルを責任者とし,ト ルコ文献学専攻のボルド(∬.sono)・ バットルガ(u. 古学専攻のバヤル(A.Saxp)・ グンチンスレン(B.rYHRHHCYP3H,)ら が参加 した. 本研究において対象とした遺蹟 ・碑文は,以 下の通 りである. 突厥期 遺蹟:ブ グト遺蹟 ・シヴェート=オ ラーン遺蹟 ・ホショーティン=タ ル遺蹟 ・オンギ遺蹟 ・キョル=テ ギン遺蹟 ・トニュクク遺蹟 ・イフ=ホ ショートゥ遺蹟 ・イフ=ハ ヌイ=ノ ール遺蹟 碑文:オ ンギ碑文 ・キョル=テ ギン碑文 ・トニュクク碑文 ・キュリ=チ ョル碑文(以 上,古 代 トルコ 語),ブ グ ト碑文(ソ グ ド語),大 東安西阿史夫人壁記(漢 語) ウイグル期 遺蹟:バ イバリク遺蹟 ・タリア ト遺蹟 ・シネウス遺蹟 ・カラ=バ ルガスン遺