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ぜひ，新しい数学の発信を―数理学府?数理学研究院への期待を篭めて― 吉　川　　敦 久留米大学附設中学校?高等学校 （九州大学名誉教授） １．自己紹介 ２．「数理学研究科」の思い出 ３．数学は完成した学問か ４．雑感的思い付き * （平成21年11月4日．　於九州大学稲盛ホール） 校　長 三室統合おめでとうございます． １．自己紹介 昭和60年6月　九州大学工学部応用理学教室赴任 応用理学教室（応理）：工学部共通講座の集まり 　　　　　　　　　　　　　　工学研究科応用物理学専攻 　　　　　　　　　　　　　　（５博士講座＋１学部講座（　　　　　　）＋１教授職） 　　　　　　　　　　　　　　総合理工学研究科機能物質化学専攻（1講座） （前任地：北海道大学理学部数学教室） 赴任時の応理は，全体としては，やや混乱していたが，もともとは，九州帝国大学創設時の「数学及力学講座」（桑木彧雄教授）に遡るものであり，さらに，理学部設置の基礎になったところである． なお，わたくしが応理赴任を決めたのは，当時の在籍数学者が偉い人たちだったからである． 応用物理学 参考： http://www.kyushu-u.ac.jp/magazine/kyudai-koho/No.46/46_24.html 桑木彧雄教授については，「九州大学五十年史」を参照されたい．　 理学部設置のために随分努力をしてきたが，その設置を見ずに， 九大を去り，松本高等学校長になっている． 大正期に，桑木先生は，九大工学部で理学士を卒業させている．また，アインシュタイン博士招聘の際のホストでもある． 「桑木文庫」はご存知だろう． ちなみに，末綱恕一先生（数学）は桑木先生のお婿さん．わたくしの承知している ところでは，矢崎美盛先生（美学）も． ご子息の桑木務先生（哲学?中央大学教授） は故人．ご遺族は都内にお住まい． 　なお，桑木先生の兄上，桑木玄翼博士は哲学者． （「松本高等学校」は「信州大学」の母体の一つ，作家北杜夫の母校， 故都筑俊郎北大教授（有限群論）は北氏の（卓球部の）一年後輩である．） 引用もとのURL:　http://www.phys.kyushu-u.ac.jp/kids-labo/5einstein/5einstein.html 桑木先生のことを長々と述べてきた．実は，　 桑木彧雄記念講演 ここにご出席の方々に，一応ご検討いただければありがたい． 例えば，講演委員会構成は，理工学部長，数理，総理工，シス情 　 などの院長＋（総長？）ではいかが． というようなものが，九大百年を機会に，例えば，毎年または隔年で，開催されてもよいと考えていたからである． これは実は大分前からの持論であり，ご遺族の所在を確かめただけで， 大学当局に提案することもないまま，退職をしてしまった． 自己紹介の続き：　 　　　　　　　なお，平成20年4月　現職． 主夫は兼務．　　　　 現勤務先では，中学生に「卒業論文」というのを課しており，すでに30年になる． その運営の仕方に若干の疑念があり，改善の方向として，全教員が生徒の「顧問」としての 選択の対象になるような提案をしたところ，わたくしのところにも何人か来てしまった： 「ゼータ関数の関数等式」を調べたいという生徒がおり，一応，引き受けはしたが， 中学2年生が1年掛けて何かできるものかどうか，全く見当が付かない． 他に，あと一人がエッシャー，もう一人が錯視をテーマにしたいと言ってきている． 平成18年3月　九州大学退職．主夫となる． 振り返って： 要するに，不勉強なまま馬齢のみ重ねてきたわけであるが，思いついた ことを確かめようとしても，今や，勉強の仕方さえもわからない状態では ある．ご迷惑だろうが，後ほど「馬齢集積?馬脚露出」を「例証」する． なお，お願いの儀 あり： 皆さんのところに質問などで伺わせることもあり得るので， その節はよろしくお願い申し上げます． ２．「数理学研究科」の思い出 昔話が長くなりすぎた． 工学部勤務は，わたくしの数学観の改訂を伴い，「数学」の相対化というべき感覚が不徹底ながら生じた． 一方で，数学を中心にものを見てみようという思いが，応理での 教室雑務をこなしているうちに強まってもきた． 大学設置基準の大綱化だ，大学院重点化だ，キャンパス移転だ， 数学教育の危機だ，何だかんだという時代が到来し，まあ，そういう タイミングを利用して， 誰もが何らかの危機感を抱いていた時期であった（と思う）． 　　　加藤十吉教授　　　　濱地敏弘教授 ほかの同僚たちと一緒に「数理学研究科」設置にこぎつけた． 以後は皆さんご承知の通りである． ３．数学は完成した学問か 多数の未解決問題があるから完成していない