肝疾患2.docVIP

門脈圧亢進症(Budd-Chiari症候群を含む)　　95G-22, 83E-34, 82E-17, 81E-17, 80D-5; 89B-42, 88B-43, 86B-49, 84B-42, 83B-46, 85B-44 概念 正常では、門脈圧＝右房圧＋110～130mmH2O 　 ? 門脈圧亢進症では、門脈圧≧右房圧＋250mmH2O 原因 ? 分類 肝前性門脈圧亢進症　門脈圧(PVP)＞閉塞肝静脈圧(WHVP) ①門脈血流↑：動脈?門脈シャント、腹部臓器血流増加、腹腔臓器肉腫 ②門脈閉塞：肝外門脈閉塞症、門脈血栓、脾静脈血栓、門脈圧排 肝内性門脈圧亢進症　①では門脈圧＞閉塞肝静脈圧、③では門脈圧＜閉塞肝静脈圧 ①前類洞性(肝内門脈閉塞)：特発性門脈圧亢進症、日本住血吸虫症、先天性肝線維症、門脈域細胞浸潤、肝腫瘍 ②類洞性：脂肪肝の一部、肝硬変の一部 ③後類洞性(肝内肝静脈閉塞)：肝硬変の大部分 肝外性門脈圧亢進症 (肝外肝静脈閉塞症)　門脈圧＜閉塞肝静脈圧 Budd-Chiari症候群、下大静脈閉塞症、うっ血性心不全 検査 門脈造影 → 肝外門脈閉塞症(門脈の閉塞＋豊富な側副血行路) 肝静脈造影 → 特発性門脈圧亢進症(肝静脈枝相互間の吻合＋しだれ柳様所見) 、 Budd-Chiari症候群(完全閉塞) 下大静脈造影 → Budd-Chiari症候群(膜様閉塞or完全閉塞) 肝機能検査 → 肝硬変、日本住血吸虫症および進行したBudd-Chiari症候群で肝機能↓ 肝生検 → 特発性門脈圧亢進症(門脈域の線維性拡大) 、日本住血吸虫症(毛細血管内に虫卵)、肝硬変(肝小葉構造の改築)、Budd-Chiari症候群(肝のうっ血＋門脈の拡大) 症状 脾機能亢進症 (脾腫、汎血球減少) 食道胃静脈瘤 (門脈圧亢進症に特異的な症状で、進行すると、破裂?大量出血) 腹壁皮下静脈怒張 (caput medusae) 痔静脈瘤 (痔核) 腹水?浮腫 (肝内性or肝後性門脈圧亢進症のみ) 猪瀬型肝性脳症 (異常行動意識レベル羽ばたき振戦脾機能亢進症に対して、摘脾術 食道胃静脈瘤に対して、 急性出血時 → 内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL) 予防用 → 内視鏡的硬化療法(EIS)の他、門脈-下大静脈吻合術?遠位脾静脈吻合術?直達手術(食道離断＋摘脾＋傍食道胃血管廓清術)などの手術療法 腹水に対して、利尿薬やアルブミン製剤の投与 肝性脳症の予防のために、蛋白制限分岐鎖アミノ酸製剤投与肝不全?肝性脳症　　91E-14, 90E-13; 92A-77, 87A-56 肝不全 肝性脳症 概念 肝機能障害が進行して、生体の維持に必要な機能を果たせなくなった状態 肝疾患に伴ってみられる精神神経症状 (昏睡状態に陥った場合を肝性昏睡という) 原因 急性肝不全…劇症肝炎、アルコール性肝炎、薬剤性肝障害、Reye症候群など 慢性肝不全…主に肝硬変 アミノ酸分画の変化、血清アンモニアの増加、GABAの増加など 　Budd-Chiari症候群では、下大静脈が閉塞し てしまっているために、上述の②③④の短絡 路が形成されることは少なく、代わりに以下 のような短絡路が形成される。 　⑥下肢の静脈→腹壁皮下静脈→上腹壁静脈 →内胸静脈→腕頭静脈→上大静脈 そのため、Budd-Chiari症候群で、臍を中心 とした典型的なcaput medusaeが観察されるこ とは少なく、鼠径部から胸壁に向かって上行 する形態で血管の怒張がみられる場合が多い (→ 81E-17参照)。 肝疾患 －1－ 肝性脳症の合併が多い