朗读练习.ppt

塩を運ぶロバ 　　ロバが背に二つの袋（ふくろ）を載せて、彼の主人と一緒に町にむかっていました。道は狭くて、岩（いわ）だらけで、その上、途中には避けて通れない岡（おか）やら流れやらがありました。 　　町で用事を済ませて帰途（きと）についた時には、ロバの背中の二つの袋には塩がいっぱい入っていました。 　　その日は、暖かいという気持ちのいい日でした。それだけに、ロバは自分がこんな重い荷物を運ばされていることにたいそう不満でした。それで、頭を下げてのろのろと道を歩いて行きました。 しばらくすると、彼らは川にさしかかりました。川を渡っている時、ロバは石につまずいて倒れました。 　　立ち上がって歩きだした時、ロバは荷物がずっと軽くなっていることに気付きました。水が袋に染み込んで、塩の大部分を溶（と）かしてしまったのです。 　　その翌日、ロバはまた町に連れて行かれました。そして、また塩を背負わされました。帰り道、きのうと同じ川にやって来ると、ロバはわざと倒れました。荷物はまた軽くなりました。 　　うちへの道を急ぎながら、ロバの主人は独り言を言いました。 　　「ロバの奴、どうやら悪いことを覚えてしまったらしい。ここは一つ懲（こ）らしめてやらずばなるまい。どうするか見ておれ。私にも考えがあるぞ。」 　　そして、次に町に行った時、今度は塩でなく、海綿（かいめん）を袋いっぱい買いました。 　　そんなこととは露（つゆ）知らないロバは、うきうきと道を小走り（こばしり）に進んでいきました。 　　「今日の荷物はずいぶん軽いけれど、これをもっと軽くしてやろう。」と、ロバは考えました。 　　ほどなく、彼らは例の流れにやって来ました。ロバはここぞとばかり、流れの一番深そうなところに倒れました。 　　彼が立ち上がった時、海綿は水を吸って非常に重くなり、背骨（せぼね）が折れんばかりでした。かくして、ロバは楽をしようとして、かえって厄介を背負い込むことになったのです。 　　自分でめぐらしたはかりごとで、かえって自分自身を不幸にする人があるものだ。 　　ある農夫が死ぬまぎわに、子供たちを枕（まくら）もとに呼び寄せて、こう言いました。 　　「私はもう長くない。私が死んだら葡萄（ぶどう）畑（ばたけ）を探してごらん。きっとすばらしいものが見つかるだろうよ。」 　　葡萄畑のどこかに宝物（たからもの）が隠してあると思い込んだ子供たちは、お父さんが息をひきとると、さっそく葡萄畑を隅（すみ）から隅までくまなく、掘りおこしてみました。 　　宝物のたの字も見つかりはしませんでしたが、葡萄畑は十分に掘り返されたので、葡萄は例年の何倍も実をつけたのです。 　　労働こそ人間にとって宝なのである。 農夫とその子供たち 　　「金は三欠くにたまる」、この諺は、金をためようと思ったら、義理を欠き、人情を欠き、交際を欠かさなければならないということを言っています。 　　「義理張（ば）るより頬（ほほ）張（ば）れ」という諺もあるように、義理だとか何だとか言っていたのでは金は懐（ふところ）に入る間も無く出ていってしまいます。 収入が限られているサラリーマンが金をためるには、この「三欠くに徹底（てってい）しなくてはなりますまい。」 金は三（さん）欠（か）くにたまる 　そうしなければ、五十になっても自分の家を持つことはできないでしょう。 　しかし、そうまでして金をためることがいいことかどうか。 　たまってもよし、たまらなくてもよし、という気持ちで生活できたら、これに越したことはありますまい。 そこで、「なるほど、金は三欠くにたまるという言うが、君はちょっと極端（きょくたん）すぎるよ。少しは同僚ともつきあうようにしたまえ。」などと忠告します。 猫に鈴（すず）をつけること 　 昔々、鼠たちが集まって、猫の対策について相談をいたしました。 初めに、一匹の年取った鼠が立ち上がって、こう申しました。 「皆さん、私たちは、猫からどのようにして逃れるかを、真剣に考えなければなりません。猫によって命を奪われた仲間の数は、最近非常に多くなっています。このままでは一匹残らずやられてしまうかも知れません。そこで、きょうは、こうやって皆さんにお集まりいただき、その対策を相談しようという次第です。」 　 鼠たちは一生懸命に考えて、それぞれがそれぞれの意見を述べました。が、これといった名案は出てきませんでした。 　 そのとき、いかにも高慢そうな感じの若い鼠が立ち上がって、こんなことを言いました。 　 「こういう相談をする時には、まず初めにはっきり現状を認識しておくことが大切だと思います。そうしないと、役にも立たないことをくだくだ論ずることになるかもしれませんね。さて、我々の気の毒な仲間たちは、なぜ猫に捕まってしまったのでし