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日本の財政金融政策　　　　　　　　　10月27日 財政金融超緩和と「列島改造」ブームの帰結（１９７２－７３年） 　１９７１年８月１５日の「ニクソンショック」後、結局円はフロートし、1ドル=３６０円から年末にかけて徐々に３１０円台に向けて切り上がっていった。そして、１９７１年１２月１８日にワシントンのスミソニアン博物館で行われた主要国会議で、円は以前の平価から１６．８８％切り上げられ、１ドル=３０８円とされた。 （参考図）円ドル?レートの動き 小宮隆太郎?須田美矢子著「現代国際金融論[歴史?政策編]」１３頁より 　このような大幅な切り上げにもかかわらず、日本の経常黒字は拡大を続けたが、これはかなりの程度いわゆる「Jカーブ効果」によるものだったと思われる。しかし、当時は黒字が減らないことに内外から批判がなされるとともに、「円切り上げ不況」に対して財政金融の思い切った緩和が求められた。 　　　　　　　　　　　 経常収支[前年比]（百万ドル）鉱工業生産伸率[季調済前期比](%) 　　１９７１年　９月　　　　　６７３[＋４４０]　　　　　　　　　６．８ 　　　　　　　１０月　　　　　５６８[＋３１４]　　　　　　　　－１．８ 　　　　　　　１１月　　　　　４５０[＋３２２]　　　　　　　　　０．４ 　　　　　　　１２月　　　　　９８３[＋４２２]　　　　　　　　　２．０ 　　１９７２年　１月　　　　　－２１[＋１６９]　　　　　　　　－９．３ 　　　　　　　　２月　　　　　３９３[＋２１５]　　　　　　　　　７．０ 　　　　　　　　３月　　　　　５８６[＋１４０]　　　　　　　　　９．２ 　　　　　　　　４月　　　　　５０６[＋１３７] 　　　　－５．６ そこで、１９７２年１月に一般会計歳出を２１．８％伸ばす景気刺激型の１９７２年度予算が編成された。また、公定歩合が１９７１年１２月に０．５％下げられたうえ、１９７２年６月にはさらに０．５％引き下げられ、４．２５％（戦後最低水準）になった。その一方で、さまざまの経常黒字抑制策や資本赤字促進策がとられた。ところが、実は、景気は１９７２年はじめから回復しつつあったうえ、国際収支不均衡も是正に向かっていたのである。少なくとも、６月の公定歩合引き下げは行うべきでなかったのではないか。 　　　　　　　　　　　実質GDP伸率[季調済前期比](%) 経常収支[前年比]（百万ドル） 　　１９７２年１－３月　　　　　　３．３　　　　　　　　９５８[＋５２４] 　　　　　　　４－６月　　　　　　１．９　　　　　　　１２１２[　－５０] 　　　　　　　７－９月 ２．１　　　　　　　２０８４[　－１６] このころ、円レートはスミソニアン合意に基づく変動幅の上限に張り付いたままで推移し、いつ再切り上げに追い込まれるかわからない状況にあった。そうした中で、7月に「列島改造」を掲げる田中内閣が成立し、徹底した財政金融の緩和が推し進められた。８月に第一次財政投融資追加が行われ、１０月には公共事業を含む大型補正予算編成と第二次財政投融資追加が行われたうえで、１９７３年１月に一般会計歳出を２４．６％伸ばす予算が決定された。２月には、ドルが１０％切り下げられた後、円はフロートし、第三次財政投融資追加が行われた。一方、金融緩和によりマネーサプライは一貫して高い伸びを示していた。その下で「列島改造」ブームとハイパーインフレーションが進行していった。 　　　　　　　　　　マネーサプライ伸率（%）経常収支（百万ドル）消費者物価上昇率（％） 　　　　　　　　　　　　　　[前年比] 　　　[前年比] 　　１９７２年７月　　　　２７．１　　　　　　７５２　　　　　　５．０ 　　　　　８月　　　　２６．４　　　　　　６２５　　　　　　５．８ ９月　　　　２６．９　　　　　　７０７　　　　　　４．０ 　　　　　　１０月　　　　２７．８　　　　　　５４５　　　　　　４．３ 　　　　　　１１月　　　　２８．５　　　　　　６５５　　　　　　４．９ 　　　　　　１２月　　　　２６．５　　　　　１１７０　　　　　　５．７ 　　１９７３年１月　　　　２６．１　　　　　－１８９　　　　　　６．３ 　　　　　　　２月　　　　２６．８　　　　　　６９０　　　　　　７．１ 　　　　　　　３月　　　　２６．９　　　　　　　－７　　　　　　８．８ 　　　　　　　４月　　　　２７．３　　　　　　１５８　　　　　　９．５ 　　　　　　　５月　　　　２６．５　　　　　－３１６　　　　　１１．１ 　　　　　　　６月　　　　２５．３　　　　　－２５８　　　　　１１．