森博幸市長（商学部、昭和49年卒）に聞く鹿児島市への想いと-進交会.docVIP

森博幸市長（商学部、昭和49年卒）に聞く　鹿児島市への想いと市政への基本姿勢 　鹿児島市長の森博幸さんは横浜市大商学部を1974（昭和49）年に卒業した23期生です。2004（平成16）年に市長に当選し、目下2期目。島津の殿様たち、篤姫、西郷隆盛、明治の元勲たちなどの歴史物語に彩られ、錦江湾や桜島など風光明媚な土地の行政のトップとして7年たったところで、市長としての夢と実績を語ってもらいました。 　　市民と協働で強い地域力をもった、彩りあふれるまちを創造する 　父は鹿児島の、叔父は横浜の市役所勤め 　――森さんは1949（昭和24）年10月の生まれ。子どものころは、まだ南国の豊かな自然が残っていたでしょう。そういう中でのんびりと育ったのではないですか。 　森　いやそうではないのです。確かに、気候は温暖で、海の幸?山の幸は豊かなところですが、鹿児島市は第2次世界大戦の空襲で徹底的に破壊され、私が子どものころはまだその爪痕が強く残っていました。しかも、団塊の世代ですから小学校時代は1学年12クラスもあって、友だちは多かったけど競争も激しかったのです。 中学?高校は男子校であるラ?サール中学?高等学校に進みました。中学では1学年が3クラスで、今までの芋を洗うような世界から抜け出して、家族的雰囲気に浸れました。私は野球少年だったので、野球三昧の日々を送りました。 今は生徒の大半が市外?県外出身者のようですが、当時は市内出身者が半分くらいいましたから、親しい友だちもすぐできました。こぢんまりした学校なので、同学年の付き合いだけでなく、先輩?後輩との付き合いも密接で、卒業してから今でも付き合っている同窓生がたくさんいます。 ラ?サールはカトリックの学校で、「学校教育による社会改革」をめざし、世界80か国に姉妹校があります。しかし、男子校なので、結構、蛮カラ風の学校でした。外国人の先生も多く、日本人教師も優秀な方々が集まっていたので、次第に県下一の受験校になっていったようです。 ――横浜市大をなぜ選んだのですか？ 森　私は高校生の終わりころに体調を崩し、親はなるべく鹿児島市内にある大学に行くことを望んでいたようです。でも、私の叔父が横浜市役所に勤めており、保土ヶ谷に住んでいました。私のいとこも叔父の近くに下宿していました。それで、私も叔父に世話になる形で横浜に行ったのです。親もそれならばと認めてくれました。父親は私が大学に入る前に定年になっていましたが、市大は授業料も安かったですからね（笑）。私は鹿児島市に生まれ、大学卒業後すぐに鹿児島市役所に就職しましたので、鹿児島を離れた唯一の期間が横浜市大の学生時代です。 ――お父様は何をしていた方ですか？ 森　父は満鉄（南満州鉄道）に勤めておりましたが、敗戦で私が生まれる少し前に引き上げてきて、鹿児島市役所に入りました。当時、鹿児島は焼け野原でしたから、復興部で、市の再建のため働いていました。実直な人で、一生懸命仕事に打ち込んでいました。子どものころから親の背中を眺めて育ち、自分も大人になったら市役所の仕事をしたいと思っていました。今は、すでに両親とも亡くなっていますがね。 ――横浜市大ではゼミはどこに入ったのですか？ 　森　会計学の遠藤久夫先生のゼミに入りました。先生は会計学関係の著書?翻訳書も多く、ご自身が公認会計士でもありましたが、公認会計士を育てることにも熱心でした。 　――クラブ活動はどこに入ったのですか？ 　森　私は体調がなかなか十分ではなく、大学でも一切のクラブ活動から離れていました。これは残念なことでした。また、60年代末から70年代の初めころは、大学は紛争に明け暮れていて、68年には東大闘争があり、70年1月には安田講堂攻防戦があって、ついに70年の東大入試は中止になってしまいました。その後も、日本中の大学で混乱は尾を引いて、横浜市大もそれから無縁ではありませんでした。それで、卒業に必要な授業をとったら、さっさと下宿に引きあげるような生活をしていました。今から考えると、それもたいへん惜しいことでした（笑）。それでも、市大の同窓生とは今でも付き合いがあります。 　――学生時代に趣味を持たなかったとすると、今は何を趣味にしているのですか？ 　森　だいぶ以前に土地を借りて妻と二人で家庭菜園を始めました。山間地のやせた土地を開墾して、落ち葉や草などで作った有機肥料をすきこんで、土地づくりから始めました。今では鹿児島でとれるものは何でも作るくらいに手を広げています。農薬は一切使わず、農薬のかかった草も肥料に使わないくらい、環境には気をつけています。もっとも、市長になってからは時間がなくて思うようにはできませんが、それでも、鍬を持って畑に立つと空気は新鮮ですし、気分がリフレッシ