京都府立医科大学大学院医学研究科「神経内科学」.pdfVIP

医学フォーラム 497 ＜部 門 紹 介＞ 京都府立医科大学大学院医学研究科「神経内科学」 1990年11月1日，老化全般にわたる診療? 就任された．前二代の教授とともに発展させて 教育?研究を行い，豊かな高齢化社会づくりに きた伝統を引き継ぎながら，最近の急速に進行 寄与することを目的として京都府立医科大学附 する高齢化の中でまだまだ取り組むべき課題の 属脳?血管系老化研究センター（老化研）が設 多い脳卒中，認知症，神経難病のそれぞれの分 置された．本センターの臨床部門として神経内 野においてさらなる飛躍へと日々邁進してい 科学教室が開設され，秋田県立脳血管研究セン る．平成27年6月1日現在，スタッフは特任教 ター病院長であった中島健二先生が初代教授に 員を含めて10名，鴨神会（神経内科同門会）会 就任された．開設時，中島教授（現名誉教授） 員は100名を超え，公的性格をもつ医療機関を は1人で着任され，1991年4月に教授以下講師? 中心に常勤医師を派遣している． 助手5名の6人体制でスタートした．2002年10 診 療 活 動 月1日より，二代目教授として鹿児島大学第三 内科（現神経内科?老年病学）より中川正法教 「患者中心主義」─患者さんの目線で物事を考 授（現本学附属北部医療センター病院長）が就 える─をモットーとして，看護スタッフと共に 任された．中島初代教授が礎を築いた脳卒中， 入院診療，学生教育，研修医教育に取り組んで 認知症に対する診療をより充実されたととも いる．在院日数の短縮と病床稼働率の向上，重 に，神経難病も含めた多くの神経疾患の診断? 症度というきわめて難しい課題のもと，病棟ス 治療について診療を可能にし，発展させられ タッフの指導のもと，前期?後期専攻医を中心 た．2013年8月1日より三代目教授として本学 とする病棟医が脳卒中の超急性期治療，てんか 神経内科准教授であった水野敏樹先生が教授に んや神経免疫疾患などの急性期治療からパーキ 498 医学フォーラム ンソン関連疾患，筋萎縮性側索硬化症などの運 病態解析と治療法開発，培養細胞?ショウ 動ニューロン病，脊髄小脳変性症など神経難病 ジョウバエ疾患モデルを用いたnotchシグナ 慢性疾患の診断，ケア体制の整備など幅広い疾 ルの解析，脳小血管病におけるTGFβの解析， 患に対応している．特に最近は大学全体の救急 新規の画像解析法を用いた白質病変の解析 医療体制が整備されつつあることを受けて，脳 2．神経変性疾患の蛋白化学的?生物学的解析： 卒中をはじめとする緊急入院を可能な限り受け ヒト生体試料中の疾患関連蛋白（α-synuclein, 入れており，2014年度の当科緊急入院割合は Aβ,TDP-43:totaloroligomer）の定量とその 54％に到達した． 臨床応用の検討（ELISA,Luminexassay），α- 教室開設以来の「物忘れ専門外来」をはじめ， synucleinopathyの伝播メカニズムの検討と 「脳卒中」「神経変性」「神経?筋疾患」「神経難 分子標的治療の開発，髄液のプロテオーム解 病」