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資料２－１ 外科の診療科再編の取り組みと進捗状況 ～消化器外科と一般外科の統合に向けて～ 大学の外科学教室は医療の進歩と社会の変化がもたらした診療領域の拡大と増加 する疾患に対応するために、同じ機能を持った複数の教室、即ち第一外科学教室や 第二外科学教室といった番号で標榜する幾つかの教室を組織し、量と質の充実を図 り医療界に貢献してきました。同じ診療領域を担当するグループが並立する各教室に 存在し、互いによきライバルとして研鑽を積み重ね発展してきた経緯があります。しか し番号で表される診療科の内容は、社会や患者さんには分かり難いので、近年では 外科学は消化器外科や呼吸器外科、心臓血管外科などのように臓器を中心とした診 療科の標榜が望ましいとされています。 一つの病院に同じ診療領域を担当する外科医のグループが複数存在するので、同 一疾患であってもグループ毎に治療方針が異なるといった事態も発生します。病院内 では十分な議論を経て疾患毎の治療方針は統一されているのが望ましく、統一された 治療姿勢は患者さんや医学生、研修医などに理解され易いものとなります。現在の名 古屋市立大学病院には、消化器の外科診療を担当する診療科として消化器外科と一 般外科があります。大学病院ではその専門性と特殊性により、消化器、呼吸器、心臓 血管外科、乳腺内分泌、小児?移植などの各診療領域間には仕事量に著明な差は余 りありませんが、一般の病院を含めた外科領域における消化器疾患の仕事量と患者 数は、全外科疾患の 70 から 80％を占め非常に大きな領域であることは間違いありま せん。今後の名古屋市立大学の外科学教室の発展にはこの消化器外科領域の再編 と統合が不可欠であり、消化器外科を指導する教授選考はその再編と統合の重要な 好機と判断されました。平成 19 年 3 月に当時の病院長と医学研究科長の連名によっ て「消化器外科学分野教授選考にあたって」と題する基本的な考え方と方針が提唱さ れ、平成 19 年 4 月から消化器外科の統合と再編を前提とした当該診療分野の教授選 考が始まりました。 消化器外科の統合は大学や大学病院だけの問題ではなく、広く地域で活躍する当 - 1 - 大学の各外科学教室に所属する外科医と病院を含んだ問題でもあり、大学主導で単 純に収束する課題ではありません。良い意味でも悪い意味でも歴史的に対立構造を 持つ二つの教室は、優れた外科医を育成し地域への人的支援によって地域医療に 多大な貢献をしてきました。彼らにはその体制を築き維持してきた誇りがあり、地域病 院をも巻き込んだ消化器外科分野の再編と統合には安易に賛成できない事情もあり ます。消化器外科分野の教授一人の力で統合を成就することは不可能で、教授就任 は象徴的ではありますが統合への過程における有効な手段に過ぎません。内外に潜 在する困難な状況を踏まえ、大学に在職する外科医は特に大学や大学病院における 消化器外科領域の統合への機運を高め統合への環境整備に努力して参りました。 消化器外科統合を円滑に進めるにあたり「外科はひとつ」との認識に立ち外科全体 の統合を図る活動が平成 18 年度から始まり、平成 19 年 1 月には外科の当直体制を 見直しました。消化器外科領域を担当する消化器外科と一般外科に属する外科医は 一つのグループとして当直業務を行い、当直業務における統合が完了しています。そ の後消化器外科と一般外科の間で統合に向けた協議会が数回開催され、平成 19 年 6 月 28 日に人材育成と地域病院への人的支援、外科の大講座構想、消化器外科を 始めとした外科診療のあり方などについて互いに協力して進めるべき基本事項の合 意に至りました。その経緯と内容は病院長と医学研究科長から提言された「消化器外 科学分野教授選考にあたって」という文章とともに、平成 19 年 7 月に消化器外科と一 般外科の責任者による連名で双方全ての教室員に周知されました。また同 8 月 30 日 から消化器外科と一般外科の合同カンファランスが毎週、更に同9月21日から外科全 体の合同症例検討会が毎月開催され、熱心な討論と交流が行われています。特に消 化器外科と一般外科の検討会では疾患の特殊性を鑑み、患者さんの紹介が 2－3 例