欧米における木材保存研究事情調査旅行記（完）.pdfVIP

欧米における木材保存研究事情調査旅行記 （完） 布 村 昭 夫 　バンクーバーでのカナダ西部林産試験場訪問のあ 厚みも1/4′(内装)～3/8″(外装)であり，エンボス と，アメリカ西準岸を北から南へ下る訪問コースを予 加工の上に塗装仕上げしただけのダグラス合板または 定し，最初の訪問地であるユージンへ向った。ユージ これに1/20″程度のマホガニー化粧単板が貼られた合 ンの街はオレゴン州では比較的大きな街で，人口4万 板の何れも無処理のもので合格している。ただし比率 程度の静かな落着いた小都市であった。 的には，前者の加圧注入処理の厚物合板が全米で使わ れる難燃合板全体の90％近くを占めている。ClassⅢ 　34．ジョージア?パシフィック社合板工場訪問 は規格上は展炎性200以下のほかに発熱指数 （FC 　ユージンの街はずれのジョージア?パシフィック社 I）125以下，煙濃度指数 （SDI）200以下も基準値 合板工場にReeve工場長を訪ねると，大きなクリスマ とされているが，現在はこのうちの展炎性が最も重視 ス?ツリーの前に座った受付嬢は，心よく私を工場長 されている。1/4″厚 （4×8サイズ）のFOB価格が 室へ案内してくれた。一通りの我々の機関や仕事の説 通常3ドル20セントであるが，これらの接着剤として 明をしたあと，とくに公設試験機関であることを少し は尿素，メラミン配合のものが使われ，さらに高度難 念入りに力説した。保存関係の研究内容なども興味を 燃のものは45％水溶性フェノールに血粉，クルミ他の もったようなので説明した。Reeve氏は一緒に私の説 充填剤を混ぜた接着剤を使っている。表面塗装は通常 明を聞いていたエンジニアのGamble氏とつぎのよ アルキッド糸，ウレタン系が多いが，外装用にはラテ うなことを説明してくれた。 ックス系が用いられる。発泡性防火塗料を用い基材厚 　同社はオレゴン州を中心にカリフォルニア州，ワシ を下げる場合，表面の平滑性に問題がおきやすく，プ ントン州を含め紙パルプ3工場，パーティクル1工 ライマー処理が必要となると思う。ロックウールシー 場，合板，製材5工場，接着剤1工場などをもち，こ トを化粧単板との間に用いることも高度処理効果をあ のユージン工場は針葉樹合板の主力生産工場とのこと げうる一つであるが，材料性能の点からの配慮が必要 であった。また，同社は米国の難燃合板生産会社のう である。このほか，防火扉についても伺ったが，内容 ち，U．Sプライウッド社，ウェアハウザー社に次ぎ第 的には東部で聞いたのとあまり変りなかった。 3位を占め，とくに米国の年産約2，000万平方呎に達 　Gamble氏の案内で工場を見学したが，東部の広葉 する難燃合板生産量の約70％を占める針葉樹難燃合板 樹合板工場とは随分違った雰囲気であった。すべての の大手生産会社の一つとのことであった。 流れが量産に集中しており，貯木池の中で定尺に切断 　難燃合板の高度処理のものは，加圧注入処理業者に された原木がコンペアで引上げられ，剣皮用と単板切 よって難燃薬剤を注入されたものを台板合板として生 削用の2段のロータリーレースにかけられるが，毎分 産される1/2″～3/4″厚のものであるが，最近需要が高 80～100沢のスライス?スピードとのことであった。 まっているモビールホーム用難燃合板は難燃要求度が 連続ドライヤーを出た単板は，切断ののち回転する円 低く （アンダーライター試験ClassⅢ），このものは 盤状の選別機 （写真38 ）にのりー周するうちに四方に大 欧米における木材保存研究事情調