宇宙における衝突現象の教材化.pdfVIP

－－ 特 集 宇宙における衝突現象の教材化 松原康浩 ( 京都教育大学大学院) はじめに 結果 宇宙における衝突現象の代表的なものとし 砂の粒径が 1 mm の場合と1 cm の場合の、 てクレーターの形成があり、惑星科学の分野 衝突エネルギーとクレーターの直径の関係を では実験室でクレーターを形成する実験手法 図1 に示し、クレーターの直径と深さの関係 などで研究がなされている。 を図2 に示す。図1 より、砂の粒径が1 mm ところで学校現場では、宇宙での衝突現象 の場合に形成されるクレーターの直径は、衝 に興味を持っている生徒は多いが理科教育の 突エネルギーの0.2945 乗に、粒径が 1 cm の 中で宇宙での衝突現象を扱うことは少ない。 場合に形成されるクレーターの直径は、衝突 そこで学校現場において、宇宙での衝突現象 エネルギーの 0.2813 乗に比例する事が分か を体験的に学習できる教材開発を目指して、 った。図2 より、砂の粒径が1 mm の場合の 実験室で行えるクレーターの形成実験を行っ クレーターの深さは、クレーターの直径の た。 0.1582 倍に、砂の粒径が 1 cm の場合のクレ ーターの深さは、クレーターの直径の0.1439 クレーターの形成実験 倍に比例することが分かった。 目的 地球（岩石）に鉄隕石が衝突してクレータ ーが形成される過程を再現して、クレーター の直径?深さ?衝突エネルギーの関係を探る ことを目的とした実験を行った。粒径による クレーターの違いを調べたほか、宇宙科学分 野への応用として、実験結果を用いてクレー ターを作った衝突天体の大きさを求めた。 方法 図 衝突エネルギー?クレーターの直径の 鉄球（8.4 g、24,8 g、173.3 g）を一定の高 関係 さ（0.75 m?18.2 m）から容器に入れた砂(粒 径 1 mm 以下?粒径 1 cm 以下の2 種類) に落 下させる実験を行った。形成されたクレータ ーの直径と深さを、ノギスを用いて測定した。 衝突エネルギーが運動エネルギー(=位置エネ ルギー) と等しいことから、衝突エネルギーは 鉄球の質量と落下高度から求めた。さらに宇 宙科学分野への応用として、解析結果を外挿 図 クレーターの直径?クレーターの深さ して実在するクレーターを作った天体の大き の関係 さを推定した。 天文教育年月号（） 宇宙における衝突現状の教材化 －－ 考察 (w = 1/ 2× ρ × 4 / 3π r 3 × v 2 ) と変形できる。衝 得られた実験結果の評価 突天体の形状を球と仮定し、この式を半径r 惑星科学の分野では爆薬によるクレーター について整理すると、衝突天体の大きさが分 の形成実験でエネルギーとクレーターの直径 かる。衝突した天体を鉄隕石だと仮定し、密 との関係を探る試みが行われており、火薬の ρ 3 度 を鉄の密度である7900 kg/m 、衝突速度 爆発によるクレーターの直径は、火薬のエネ v を5km/s と仮定して計算