2001年度産科婦人科学卒業試験問題.doc

2001年度　産科婦人科学卒業試験問題 1. 不妊症の診断に必要な検査法の組み合わせについて誤りはどれか。 排卵障害　－　血中プロラクチン値測定 黄体機能不全　－　Rubinテスト 卵管閉塞　－　子宮卵管造影検査 Asherman症候群　－　子宮鏡検査 子宮内膜症　－　腹腔鏡検査解答 1)○ PRL産生腫瘍の臨床症状はamenorrhea-galactorrheaである。Amenorrhea（無月経）は即ち排卵障害。 2)× 気体（通常CO2）を一定の圧力?速度で外子宮口から注入すると，まず子宮腔内圧が上昇し，そのガスが卵管を通り腹腔に排出されると子宮腔内圧が低下する。この子宮腔の内圧の変化の仕方から卵管の疎通性をのがRubinテストである。Rubinテストでは黄体機能はわからない。 不妊症について誤りはどれか。 WHOの基準による正常精子濃度は2000万/ml以上である。 粘膜下子宮筋腫は，不妊症の原因となる場合がある。 我が国では，結婚後妊娠を希望し性生活を行っているにも関わらず，2年間以上妊娠せず，医学的治療を必要とする場合を不妊症と定義している。 GIFT(配偶子卵管内移植)は，両側卵管閉塞に対する治療法である。 クラミジア感染などの性感染症は，卵管障害の原因となる。解答 生殖補助医療技術の種類とその適応は次のようになっている。 人工授精：精子を注射器で女性性器内に注入するだけ。適応は精液性状不良，性交障害，精子-頸管粘液不適合など。 体外受精?胚移植：排卵直前の成熟卵子を卵巣から採取し，それを受精（＝体外受精）させてから2～8細胞期まで培養し，子宮に移植し着床させる（＝胚移植）。適応は卵管性不妊症，男性不妊症，子宮内膜症など。 GIFT：排卵直前の成熟卵子を取り出し，それと精子を腹腔鏡下で卵管に移植し受精?着床を期待する方法。適応は，機能性不妊症（＝原因不明の不妊症），男性不妊症，子宮内膜症，頸管因子不妊症（＝精子が頸管を通過できない）など。 ZIFT：体外受精させたあとの接合子（zygote→だから”Z”IFT）を腹腔鏡下で卵管に移植する。適応はGIFTと全く同じ。 000万/ml初妊率は結婚後年間で80%，年間で90％，年間で93％である。年以降の初妊率はほとんど増加しないので，結婚して年間妊娠しなければ不妊症と診断する。 GIFTは両側卵管閉塞の女性には適応できない不妊の原因になるとしては，クラミジアと淋病がある。両者とも膣から上行して骨盤内に侵入し，炎症を起こし，あちこちに癒着を作る。 次の文を読み，以下の問いに答えよ。 32才の女性。挙児希望で来院した。 月経歴：初経11才。月経周期30日整。経血量中等。月経時の随伴症状は中等度。 既往歴?家族歴：特記すべきことなし。 現病歴：結婚後4年を経過後近医受診し，1年間不妊治療を行ったが妊娠しないため来院した。持参した基礎体温は2相性を呈し，高温相は14日である。近医で行った子宮卵管造影検査では，子宮に異常陰影なく，両側卵管は通過している。また，ヒューナーテストが不良であったため，人工授精を5回行っている。 現症：身長158cm，体重50kg。全身の理学的所見に異常なく，内診所見では子宮は前傾前屈で，正常大。可動性は良好。両側付属器は触知しない。また，ダグラス窩に圧痛はなく，硬結を触れない。 この患者の不妊原因検索に，最初に選択すべき検査はどれか。 血中プロゲステロン値測定 腹腔鏡検査 卵管通気検査 染色体検査 精液検査解答 基礎体温も子宮も卵管も卵巣も異常がなさそうである。おそらく女性側には原因がない。ヒューナーHuhner)テストとは，in vivoで行われる精子-頸管粘液適合試験である。排卵日に性交してもらい，その後に後膣円蓋部貯留液と頸管粘液を採取し顕微鏡で精子がいるかどうかを見る。後膣円蓋部貯留液を見るのは，ちゃんと射精があったかどうかを見るためである。頸管粘液の中の精子数が少ないもしくは精子の運動性が弱い場合には不良と判定される。これが不良であったということから男性側に原因があると推測され，精液検査を行う。子宮内膜症の発生?進展の機序として誤りはどれか。 逆流月経血の子宮内膜が腹膜に生着する。 子宮内膜症細胞が手術創部に生着する。 卵巣の顆粒膜細胞が子宮内膜に化生する。 腹膜中皮細胞が子宮内膜に化生する。 子宮内膜症細胞が血行性?リンパ行性に転移する。 【解答 子宮内膜症とは異所性に発生した子宮内膜が，病理組織学的には良性であるにもかかわらず腫瘍のような性格を有し，増殖?浸潤し周囲と強固な癒着を形成する疾患である。子宮内膜症の発生機序としては，子宮内膜移植説と体腔上皮化生説が有力である。子宮内膜移植説とは，月経血が逆流し卵管を通って腹腔内に達すると，子