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チタンの加工性 チタンの機械加工 チタンは一般的に加工し難い材料と考えられていますが、それはチタン加工の経験の少な さ、或いはチタン専用工具がまだ開発されていない等が一つの問題で、チタンもその特徴を 把握すれば、鉄、ステンレス鋼等の他金属と同様な加工は容易に出来ます。 チタンの切断 （1） チタンの切断は、シャー切断及びプラズマ切断が一般的だが、最近では設備改良が進んだ ことから、レーザ切断、或いはウォータージェット切断等の比率も増加している。 （2） 切断設備は、鉄、或いはステンレス鋼と同様な設備を使用し、チタン特有のものは無い。 （3） チタンの切断に当たっては、低ヤング率、低熱伝導率、熱的活性といったチタンの特性に 注意が必要です。 （4） 熱的切断では、切断面の酸化硬化層の除去が必要です。 分類 切断方法 チタンの適用 板厚範囲 チタン切断時の留意点 鉄切断 ◎ 0.5ｍｍ≦ 低ヤング率?バネ性の強さに注意 鋸切断 ◎ 1～100ｍｍ 熱伝導率が小さいため蓄熱しやすく鋸刃磨耗が大きい ?切断速度のコントロール シャー切断 ◎ 0.1～60ｍｍ クリアランス管理が重要（板厚×5%程度） ガス切断 ○ 2～250ｍｍ 切断部の熱影響?材質変化 プラズマ切断 ◎ 0.1～90ｍｍ 切断部の酸化硬化層 放電加工 (ワイヤーカット) ◎ 100ｍｍ≧ 変形、かえり無く切断面良好?切断コスト レーザー切断 ◎ 15ｍｍ≧ 不活性ガスによるシールド必要 ?切断面の熱影響少ない その他 ウォータージェット切断 ◎ 0.1－200ｍｍ 切断面良好?切断コスト 表：チタンの切断方法 機械的切断 熱的切断 チタンの機械加工 （1） チタンの加工で加工設備及び基本的な作業方法は、鉄、ステンレス鋼とほぼ同様だが、作 業条件が異なる。 （2） 加工に当たっては、下記のチタン特有の特性に留意する事が必要である。 ① 熱伝導率が小さい（加工時に蓄熱し易い） ② ヤング率が低い（材料のたわみによる加工精度のバラツキが出易い） ③ 耐摩耗性が他金属に比較して劣る（加工時の焼き付きを起こし易い） ④ 化学的に非常に活性で酸素や窒素と反応し易い（酸化或いは窒化による硬化層が生成し易 い） （3） チタン加工に当たっても工具材料、潤滑油等の選定はステンレス鋼と同様に加工法により 異なる。 （4） 冷却油は摩擦係数よりも冷却性能を重視する。（比較的粘度の低いものが一般的には使用 されている） （5） チタンでは、切り粉の火災に注意。消化剤は乾燥した砂、塩類を使う。水や炭酸ガスは火 災を大きくするので厳禁。 チタン加工時の注意事項 （1） 切削速度：遅く ?刃先温度上昇 （2） 送り速度：やや粗く ?刃先温度上昇 （3） 切 削 材：冷却メイン ?刃先温度上昇 （4） 工具交換：早めに ?チップ欠損し易い （5） 寸法管理：充分な配慮 ?変形し易い 分類 切断方法 加工上の留意点 旋削 エンドミル フライス ドリル、タップ グラインダー ベルトサンダー ケミカルミーリング 放電加工 表4：チタンの機械加工方法と留意点 ?発熱、変形に注意（砥石材料、研削条件、研削油剤の選定に留意 ?被加工材の取り付けに注意（チタンは電磁チャック不可） ?使用工具は、ハイス、超硬が一般的に使用される ?切断油には、粘度の低い物を多量、高圧で使用 ?ビビリ防止のための加工速度、送り量、切り込み量は、他金属より低く設定する ?弗産＋硝酸を使用?発熱反応のため冷却に注意 ?ワイヤー放電加工が一般的で小部品加工に適する 切削加工 研削加工 特殊加工 チタンの塑性加工 チタンの塑性加工には様々な方法がありますが、どの方法を取るにあったてもチタンの材 質特性、表面硬度、ヤング率、異方性、ｒ値、ｎ値及び化学的に活性である等の特性を充分 に把握した上で、加工することが重要です。（チタンの塑性加工方法と留意点については表 5 を参照） チタンの塑性加工上での全体的な注意点 （1） チタンの塑性加工で加工設備、基本的な作業方法は、鉄やステンレス鋼とほぼ同等だが、 加工条件が異なる。 （2） 塑性加工に当たっても機械加工と同様にチタン特有の特性の把握が重要。 ① 引張強さ等の機械的性質は、ほぼ普通鋼並 ② ヤング率が低くスプリングバック量が大きい（耐力/ヤング率） ③ 加工硬化指数(ｎ値)が他のどの金属より小さい?局部変形し易い ④ 塑性異方性(ｒ値)が極めて大きい?深絞り性に優れる ⑤ 化学的活性が強く他の金属との親和力が強い?成形時の工具との焼き付き （3） 加工設備、工具(金型等)は、加工方法毎に上記特性に留意しながら選定する。 （4） 工具材料との焼き付き、或いは磨耗を軽減するためには、潤滑を適性