業務運営コスト削減に向けた方法論とその実践.PDFVIP

業務運営コスト削減に向けた方法論とその実践 第 9 回：生産コストの削減 当Newsletter 「業務運営コストの削減とその実践」の 9 回目は、「生産コスト」となります。 製造業において、生産は企業活動のまさに中核であり、各企業におかれても、製造方式の 見直しから調達コスト削減等の様々な原価低減の取り組みをなされていることと思います。 しかしながら、改善活動も一巡し、「次のステップに進むには壁がある」と感じている企業 も多いのではないでしょうか？ コスト高をもたらす原因に直接焦点をあてるコスト改善は即効性が高いものの、根本的 な解決にならず、また効果にも限界があります。ここから脱却するためには「コスト高と なる要因を究明し、構造を改革することです。このためには、生産部門に留まらず、営業、 設計～開発、調達等の他の業務も含めた一元改革をデザインすることが必須となります。 【コスト改善とコスト構造改革との違い】 しかし、その一方で生産コスト削減は実現するのは、改革方針に対応した現場レベルで の、滞留をなくす、不良の発生を抑えるといった地道な原価低減の積み重ねが最終的な成 果をもたらす点も忘れてはなりません。ドラスティックな一元改革の絵はデザインしたも のの、詳細レベルでの改善計画を欠き、「絵に描いた餅」や「絵には描けるが、食べられな い餅」となってしまう残念なケースが後を絶ちません。 生産コスト改革の難しさと同時に、主要な成功要因は、この一元改革と詳細レベルでの 改善という２つの要素をどう整合性をもたせて推進していくかです。本稿では、「食べられ る餅」となる生産コスト改革はどのようなものか、留意すべきポイントは何かについて、 弊社が実際に参画したプロジェクトを例にとり説明していきたいと思います。 - 1 – 株式会社 CDI ソリューションズ http://www.cdi-solutions.co.jp/ Copyright © CDI Solutions, Inc. All rights reserved. 【生産コスト改革は、「現在地」の把握が最も重要】 生産コストの改革は、設計～開発、生産、営業、調達等の全社の業務機能全体が共通の ゴールを目指す取り組みです。しかしながら、全社横断で目指すべき姿を合意することは 非常に困難です。各部門も今現在、直面している課題を意識せざるを得ず、目指すべき姿 の方向感ですら、なかなか一致させることができないのが実情と思います。設計や営業を 巻き込んで、生産コストの抜本解決を図ろうとしても、下記のコメント例のように、議論 を噛み合わせていくことだけでも至難の業です。 ・ ｢どこまで設計仕様を膨らませたら気が済むんだ。当社の得意な仕様を如何に提案す るかが営業の仕事じゃないのか｣ − 設計 ・ ｢設計は顧客のことを知らなさ過ぎる。この程度で顧客仕様を満足できると思ってい るのか。自分たちは業界で最も良いものを作っていると思うのは大きな勘違いだ｣ − 営業 ・ 「そもそもコストを度外視して、低価格、短納期の受注が多すぎる。『取れるものは 取る｣という営業姿勢自体が問題だ｣ − 生産 この解決には、自社の製品がどのような位置づけにあるのか（＝現在地）の認識を全 員が共有することが必須です。この現在地の認識がずれていると、現状の課題がぼやけ、 目指すべき姿自体が的外れとなる可能性が生じます。逆に、現在地の認識が共有化され れば、各部門でばらばらだった課題の優先度が整理され、取り組み課題の議論に深みや 現実感が生まれてきます。なお、現状を放置したらどのような事態が想定されるかを検 証することも「現在地」の認識の共有化に有効です。 【現在地の把握と目指すべき姿】 ここで、弊社が参画したプロジェ