小城市立晴田小学校教谕古贺悠里江.PDF

テーマＡ 【小学校 家庭科】 小城市立晴田小学校 教諭 古賀 悠里江 要 旨 本研究は，生活をよりよくしようとする実践的な態度を育てるために，学習と生活の場面を結び 付ける手立てを取り入れた学習指導の在り方を探ったものである。日常生活で使用する物を教材に して実習等の体験活動を取り入れること，生活の場面と結び付ける学習活動を設定すること，題材 の最後に振り返り活動を行うこと，この３つに重点を置いた。これらの手立てをとることで，児童は 学習と生活の場面を結び付けて考えられるようになりつつある。また，暖かい着方に対する意識の 変容が見られ，学習したことを生活に生かそうとする実践的態度が育ってきている。 〈キーワード〉 ①日常生活で使用する物 ②生活の場面と結び付ける学習活動 ③振り返り活動 １ 研究の目標 生活をよりよくしようとする実践的な態度を育てるために，快適な衣服と住まいの内容において，活 用につながる基礎的・基本的な知識及び技能を習得させる指導の在り方を探る。 ２ 目標設定の趣旨 小学校家庭科では，日常生活に必要な基礎的・基本的な知識及び技能を身に付けるだけでなく，現実 の自分の生活の中から課題を見いだし，身に付けた知識や技能を活用して生活をよりよくしようと工夫 する能力と進んで実践しようとする態度を育てることが求められている。基礎的・基本的な知識及び技 能は，日常生活に関連のある学習場面において，児童自身が主体的にそれらを生かし，自分の考えを働 かせながら工夫する経験を重ねることで身に付いていくものと思われる。 平成 22 年２月実施の児童の家庭科学習及び家庭生活に関する調査によると，89.5％の児童が家庭科 を 「好き」と答えており，楽しいと感じている児童も多かった。一方で，「好きではない」と答えた児童 は 「製作するのが苦手」，「ミシンの使い方が分からない」など，技能について苦手意識をもっていた。 また，「学習した内容を家庭で実践したことがあるか」については 91.2％と，高い割合で実践している ことが分かった。しかし，「布で生活に役立つものを作る」ことは38.3％，「衣服の着方を工夫する」こ とは34.6％と低かった。苦手意識があったり，技能が定着していなかったりして，学習で身に付けたこ とを家庭で生かすことが難しい実態もあることがうかがえる。また，世の中には既製品があふれ安価に 物が手に入ったり，エアコンに頼りがちな生活であったりするため，学習内容を自分の生活と関連付け て考える機会がないまま過ごしていたのではないかと考えられる。さらに，快適な衣服と住まいの内容 について，学習内容を確実に身に付けさせることや，それらが生活とどう関わっているかを考えさせる 授業が不十分だったのではないかとも考えた。 そこで，本研究では，研究テーマ，研究課題を受け，快適な衣服と住まいの内容において，生活をよ りよくしようとする実践的な態度を育てるために，活用につながる基礎的・基本的な知識及び技能を習 得させる指導の在り方を探っていく。生活の場面を取り上げながら基礎的・基本的な知識及び技能の習 得を図り，自分にもできたという自信をもたせることで，日常生活の中で課題を解決する際に活用しよ うとする実践的な態度が育つであろうと考え，本目標を設定し，研究を進めることとした。 ３ 研究の仮説 家庭科における一連の問題解決的学習過程において，日常生活で使用する物を教材にして実習や観察， 調査，実験などを取り入れ，学習内容を生活の場面と結び付ける学習活動及び振り返り活動を設定すれ ば，より確実に知識及び技能が身に付き，日常生活の中で活用しようとする実践的な態度を育てること につながるであろう。 ４ 研究方法 (1) 先行研究や文献等を基にした情報収集や理論研究 (2) 家庭科の学習に関するアンケートの作成，理論研究を基にした指導案，ワークシートの作成 (3) 所属校での授業の検証及び考察 ５ 研究内容 (1) 先行研究や文献を基に，活用につながる基礎的・基本的な知識及び技能を習得させる指導の在り方 について理論研究を行う。 (2) 家庭科の学習に関するアンケートを行い，その結果と理論研究を基に，仮説の有効性を検証す