阪神淡路大震灾 - feb ku leuven.doc

目次 １．はじめに ２．被害状況 2-1　経済的被害状況 　　2-2　被害規模 　　2-3　ストック被害額 　　2-4　フロー被害の特徴 ３．人口推移 　　3-1　人口の回復動向 　　3-2　各区ごと人口推移 ４．神戸市の財政から分かること 　　4-1　震災関連事業費と財源 　　4-2　復興と財源の問題???政府と地方自治体と被災者 　　4-3　国の経済的支援 　　4-4　復興には財源が必要 ５．おわりに １　はじめに 　１９９５年、1月１７日午前５時４６分、淡路島北淡町野島断層を震源とする、マグニチュード7，3の地震が発生した。　阪神淡路大震災は、死者６，４３３人、負傷者４３，７９２人、全?半壊、焼失家屋２４８，０００棟、４４６，０００世帯という大被害を与え、３１６，０００人が避難所生活を余儀なくされた。それから約１０年の年月が立っている。阪神大震災は日本の自然災害の歴史において関東大震災以来の大きなものであっただけに、それが起こした経済的問題も大きい。以下では、経済的な被害はどれくらいであったか、どうして被災にあった人々の生活再建や経済復興が遅れたのか、いろいろな被害を考察し、人口の動向も見ながら、財源を考慮した災害対策の仕組みを考察する。そして、この震災を教訓にしてこれから起こりえる災害にどう対処すればいいのか、現時点で日本の問題点を検証していく。 ２．被害状況 ２－１　経済的被害状況 震災当初、被災地域の復興や創生はもとより、住宅や道路?港湾施設の復旧が遅れた。いずれも経済活動には欠かせないストックである。住宅は労働供給や余暇、財?サービスの消費が行われる経済生活の基盤になるにもかかわらず、それらが個人所有されている場合に資金的な制約から立ち遅れたのである。私的あるいは公的な恒久住宅に住める見通しが立たない被災者が多数いたこと、およびそのような住宅に住める者と住めない者との金銭的な格差が出たことが大きな問題となった。 ２－２　被害規模 　阪神淡路大震災は、死者６，４３３人、負傷者４３，７９２人、全?半壊、焼失家屋２４８，０００棟、４４６，０００世帯という大被害を与え、３１６，０００人が避難所生活を余儀なくされた。神戸市の死亡者数を詳しくみると、東灘、灘、長田区で特に多く、震災前（平成７年１月１日）の各区の人口に占める死亡者数の割合が０．７％に達している。すなわち、平均して実に１３７人に１人が死亡したのである。インナーシティー、とりわけ木造密集市街地が集中的な被害を受けた。戦後５０年の自然災害の歴史で死亡者が３，０００人を超えたのは、福井地震（１９４８年）の３，７６９人と伊勢湾台風（１９５９年）の４，６９７人の２例のみである。 　大震災はわが国で初めてともいえる直下型地震でもあり、今後も全国の大都市圏で発生する可能性がある。大震災としてこれまでと共通する側面をもちながらも多くの点で様相を異にしている。 　長田区等で大きな被害はあったが風はほぼなく、関東大震災のように火災で逃げ惑う状況はなかった。震災発生時が、都市活動の始まる前で交通の被害は少なかった。しかしながら、もっとも安全であるはずの住宅内で大多数の人の命が奪われるという悲惨な状況をみた。また、水道、電気、ガス、鉄道など都市住民にとって不可欠なライフラインが途絶し、復旧に長期を要したこと、震災後の住民参加のまちづくりをめぐって行政?住民?専門家の役割が問われたことなどは現代的な課題だった。 ２－３　ストック被害額 　兵庫県が各関係機関を通じて推計した被害額の総計は９兆９，３００億円となっており莫大な被害である。それ以降、この数値より阪神大震災の経済的被害額は１０兆円を超えるという定説も成り立っている。１０兆円という経済的損失額は被災地にとっては莫大なものであり、例を挙げれば、兵庫県の年間予算の５年分の額に相当するし、表１から分かるように、被災地域（神戸市及び阪神?淡路地域）の年間市町民所得にほぼ匹敵するほどの考えられない額である。この中で最大なものは使用不能とみなされた建築物等（住宅、店舗?事務所?工場、機械等）であり、その額は５兆８，０００億円（全ストック損失額の５８％）とされている。 　 表１ 地域間の寄与?依存関係 (平成５年度) 　　　　区分 　　　　　　　　　 　　地域 　　　　　　Ａ　 　市長民所得 　　　(百万円)　 　　　　　　Ｂ 　市町内純生産 　　　(百万円)　 　　Ｃ＝Ａ－Ｂ 　　寄与額 (▲の場合依存額) (百万円) Ｄ＝Ｃ／Ｂ×100 寄与額 (▲の場合依存度) (％) 　　県計 16,104,580 15,610,915