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血痰 ・喀血 木村 哲也 特集 呼吸器救急 対 応 の コツ とピッ トフォール回避法 1 症 候 血痰 喀血 Management of hemoptysis 木村 哲也 Tetsuya Kimura key words 血疾 喀血 hemoptysis 窒息 表1 大量喀血の目安 は じめに 「400～600ml!day」以上 出血 した場合 救急室で観察中に100mL以上出血 した場合 新撰組の沖 田総司は,剣 で敵 を斬 った後 にいつ も 低酸素血症が進行 していく場合 青 ざめた顔で ゴホゴホ と咳込みなが ら血 を吐いた と いわれてい る。 「労咳」,す なわち結核である。 もし 彼 が現代 に生まれていたな らば,感 染予防法により ない。 強制的に病院に隔離 され るはずである。そ うなれば 大量喀血 については,重 症例の出血量の定義は さ 歴史に名 を残す ことはなかったであろ うが,早 世す ま ざまで,「400～600rn1/day以上の喀血量 」 とす ることな く,家族 に囲まれなが ら天寿 をまっ とうで るものが多い。 しか し,正確 な量 を伝 え られ る患者 きたか もしれない。 は少な く,実際の喀血量 よりも多 く申告す る場合が 血疾 ・喀血 hemoptysis は,「見た 目が派手」 多い。 また,少 ない ように見えて も,肺胞 でのガス な症状なので,患 者本人 も周囲 も驚 き,救急車で来 交換が高度 に障害 されてい ることもある。臨床現場 院す ることも多い。本稿 では,救急外来 を受診す る では,救急室で観察 中に100ml以上の出血 をした り, 血疾 ・喀血 患者の対応 についてのポイン トを述べ る。 あ るいは,SpO2の低下,頻 脈 な どバ イタルサ イ ン の変動 を認 める場合 は,重 症 と判断 して緊急対応す 血疾 1喀血 る(表1)。 疾 の中に血液が混入 してい る ものを 血「疾」 とい 血疾 喀血の原因 い,咳 とともに血液その ものを喀出す る ものを 喀「 血」 とい う。血疾が喀血の前兆である場合 もある。 血疾 の多 くは気管支粘膜のび らんに伴 うもので, いずれ も下気道 ・肺胞か らの出血であ り,英語 では ほ とん どが 自然止血す る。一方,大 量喀血の場合, 両者 の区別 はな く,血疾 と喀血 を合わせて hemop- 90%が気管支動脈 を出血源 とし,原疾患にかかわ ら tysis とい う ず感染 ・炎症 を契機 に気管支動脈が破綻 す る場合が 多い。 緊急度 ・重症度の判断 血疾 の主要な原因は,①気管支炎,② 肺癌 ③気 管支拡張症,④ 特発 性である。なかでも気管支炎 は ティッシュに付着す る程度の血疾で も,患者 は血 30%以上 を占め,