第22回中医学会勉强会汉方応用讲座.PDF

第 22 回中医学会勉強会 漢方応用講座 講師 路京華 老師 き し リポート：岸 奈治郎 ( 岐至 漢方クリニック)1 開催日 2016 年 9 月 3 日 今回は新しく提示された症例について、参加された先生方の弁証を検討する 会となりました。最近は｢汗｣に関する勉強が続いており非常に見識を深めて います。今回も汗を主訴にした症例で、4 名の先生方の弁証を検討いたしま した。症例の解説は次回以降となります。 【症例】 25 歳女性 主訴）自汗・盗汗 現病歴） Ｘ年 3 月 26 日 帝王切開で男児出産。出産後 3 日目の夜、風に当たって体 が冷え微熱が出た。熱は下がったが自汗と盗汗が残った。｢固精参茸丸｣を服 用したが効果は無かった。 （数日入院） 退院後 1 週間経って、産褥気の諸症状に加え、背中と腰・上腕の冷え、皮膚 掻痒感、不眠が出現してきた。その後他の症状は改善したが、背中と腰の冷 えはずっと続いていた。 Ｘ年 4 月 26 日 再び体の冷えを感じ不眠が出現した。 100 日経てば治るかと思ったが症状は改善しなかったので、 Ｘ年 5 月 漢方薬を飲んでみたが治らないので、広安門中医研究院を受診し た。そこで冷えを改善する薬を 14 日分処方され、やや改善。 Ｘ年 6 月 冷えはよくなったが自汗と掻痒感が気になるため再び上記医院受 診。前回の処方に加味した薬を 14 日分処方され内服。自汗、冷えは酷くなっ たため路先生を尋ねて来た。 既往歴） 特になし き し 1 岐 至 漢 方 クリニック 〒370-0053 群 馬 県 高 崎 市 通 町 42 八 幡 ビル 501 号 室 http://takasaki- / 1 アレルギー 海鮮 現症） 汗：自汗 胸、背中、右肩、右上腕外側末端、 頭部にかきやすい。動くと酷くなる。時には 滝のように流れる。発汗後畏風。盗汗もあ る。 冷えやすく、時々寒気がする。 疲れて力が出ない。 全身の掻痒感がある。赤い風疹が見られる。 口渇があり水を飲みたがるが、飲んだ後に 沢山汗が出る。 煩躁、易怒、抑うつ感がある。 食欲正常。二便正常。睡眠良好。 辛い食べ物が好き。 視診：面色晄白 血色が無い。 脈診：沈細弱 舌診：舌体痩せている 舌質暗紅 黄色くて厚い膩苔 裂紋あり 〈平馬先生〉 出産後（気血消耗）←感受風寒 →衛気受損 衛気が体表に分布できず悪寒。腠理の開合ができず脱汗。 さらに少陽枢機不利を併発したため夜間衛気が陰に入れず不眠。 三焦不利で気･津液の通行不利により鬱が生じ湿熱内生。 〔弁証〕 気血陰陽倶虚 少陽枢機不利 衛陽不振 津液内停鬱滞 湿熱内生 〔治法〕通暢少陽 通利三焦 調和気血 清利湿熱 〔処方〕小柴胡湯合桂枝加黄耆湯加減 柴胡 6 黄芩 6 半夏 9 人参 6 桂枝 6 白芍6 黄耆 15 川芎 9 茵蔯 6 沢瀉 9 五味子 6 大棗 6 生姜 3 炙甘草 4 〈阿部先生〉 〔病性〕表裏挟雑 〔病位〕心肺肝脾 〔病邪〕虚火 湿熱 〔弁証〕表虚不固 虚火内生 湿熱上蒸 2 肺気不足 肝鬱化火 営衛不和 脾気虚 〔処方〕黄耆 桂枝 白朮 白芍 五味子 茯苓 猪苓 防風 荊芥 知母 酸棗仁 薄荷 茵蔯 竜骨 牡蠣 乾姜 大棗 甘草（当帰 竜眼肉） 〈伊賀先生〉 産後 → 気血耗損 → 発汗 → 発汗過多 → 陽気受損 感受風寒 ↓