木材糖化液に适する酵母及び酵母类似菌 に关する研究 - 林产试验场.pdfVIP

木材糖化液に適する酵母及び酵母類似菌 に関する研究 東京教育大学農学部 　　　 小　　林　　達　　吉 　本研究は，木材糖化液，亜硫酸パルプ廃液等の微生物による利用中，最も工業化の容易であ る酵母及び酵母に類する微生物に関する研究の一環として，特に，残糖となり易い，五単糖の 資化能の高い酵母で，しかも，他の性質に於ても，利用価値の高いものを発見し，その検索を 行い，利用の面より，その菌の性質を明かにしようとして，昭和25年度に行ったものであ る。なお，その後Lodder等の新しい分類法の出現により，一部再実験を行った。亜硫酸パル プ廃液より酒精の製造に際しては，一般に，Saccharomycescerevisiaeに属する酵母が工業 的に使用され，我国でもBrennereiHefeRasseⅩⅡがその originであると言われる。しか （1） るに，戦後，米国でE.E.Harris等は中間工場試験に於て，Torulopsisutilis（Wiscon‐ sin No．3）がSaccharomycescerevisiaeに属する酒精酵母よりも，むしろ，木材糖化液 に適すると報告した。この種の醗酵工業では，厳重な菌の管理は行われず，時には，Han‐ senulaなどに属する菌の contaminationが多くなって酒精の収量が減少する事がある。い いかえれば，亜硫酸パルプ廃液はAsepsisが大きいので，一般に菌の管理はやかましくない が，野生酵母の内には廃液に対する適応性の極めて大きいものがあり，特に，酵母の製造で は，Geotrichum，Hansenula，Torulopsis等に属する酵母または酵母類似菌が，しばしば， contaminationを起し，いわゆる，混合培養の形で製造がつづけられていると考えられる。 亜硫酸パルプ廃液より酵母の製造には，我国では，Mycotorula japonicavar．K.H.，米国 及び独乙では，Torulautilisが使用されていて，contaminationについては，Torneschの （2） 工場でも，HorzmindenでもCandida（Mycotorula） に属するものが証明されている 。 （3） 　Nord等は Fusariumliniを使用して，五単糖から酒精を作る試験をしたが，収量が悪 く時間も長くかかるので，応用上の興味は持たれなかった。独乙では酵母製造に試験された菌 の名に， Candida arborea， Monilia candida， Torula pulcherima， Oidium lactis （2） 等 があり，米国では，Torulopsisutilis，Candidatropicalis，Mycotorulalipolytica, （4） Hansenulaanomala等 及び Hansenulasuaveolens， Torula utilis， Mycotorula （5） （6） lypolytica等 がある。また，酵母の栄養価及び成分に就ては，Agarwal等は，独乙でS. W.L.や木糖から食糧酵母の製造や研究に使用された Torulautilis，Candida aruborea, Oidiumlactisや，Bakers yeastとして使われるSaccharomycescerevisiaeを，いろい ろのモラセスから製造研究を行い，蛋白質とビタミンB群の含有量では，Oidiumlactis （7） が他の3つより，少しおとると報告した。また，Peukertは木糖よりOidiumlactisの製 （5） 造に就て研究し，生産された菌体は 32～36％ の蛋