燃料研究から沙漠化防止研究へ新岛靖雄草炭研究会常务理事前早大.PDF

草炭―燃料研究から 沙漠化防止研究へ 　　　　　　　　 　新島靖雄 　　　　　　　　 　草炭研究会常務理事 　　　　　　　　　 　前早大理工総研「地球環境問題プロジェクト」嘱託 アフリカや中国はじめ世界各地で沙漠化が進行しており、地球規模の環境問題とな っています。沙漠化がもたらした生態環境の悪化や経済的な貧困が社会の安定に影響 を与え、これが人類の生存発展と地球全体の安定に及ぼす重大な問題となっています。 １９９０年、村井資長元総長が、勲一等瑞宝章受賞を期に、昔の弟子達に呼びかけ て、昔、先生が燃料として研究して来た草炭（ピート）を、沙漠化防止に役立てよう と、『人生これから生涯現役』を合言葉に草炭研究会を発足させてから１４年目を迎 えました。 この間、サウジアラビア、シリア及び中国各地で沙漠緑化研究を行って参りました。 中国では、新疆での『草炭利用による荒漠地の緑化研究』、寧夏での『黄河上流地域 の荒漠地の緑化』（沙漠での水稲栽培研究）等々の沙漠緑化研究で培った経験を生か し、現在は、シルクロード東端の甘粛省武威地区で『草炭を利用した、無灌漑植樹に よる流動砂丘の固定化実証実験』に、中国科学院と共同で取り組んでいます。 一般に沙漠緑化活動は、年間平均降水量 400～600mm以上の地域で行はれています。 私達は、降水量 200mm 前後の沙漠での植樹に挑戦しています。このような地域での 植樹には多量の灌漑水が必要なことが常識でした。しかし、灌漑水を用いると樹木は その根系が浅くなり、自然の降雨のみでは枯死してしまうので、成育後も灌漑をやり 続けなければなりませんが、地下水も不足な沙漠では水を潤沢に使うことは出来ませ ん。 そこで私たちは、灌漑水を使わずに自然の降雨のみで固沙植物を植栽し、移動砂丘 の固定化を図る「無灌漑植樹技術」を開発・確立して、モデル緑地帯を造る研究を行 なっています。 また、今年度からは、「シルクロード沙漠化防止緑化ボランティア」の募集も企画 しています。沙漠化問題やシルクロードに関心のある方は是非ご参加頂きたく、ご連 絡をお待ちしています。 これまで、外務省、JICA、環境事業団、国土緑化推進機構、イオン環境財団、PEC 等の助成と、多くの会員や支援者に支えられて活動して参りましたが、今後とも私ど もの活動にご理解を賜り、同窓の皆様に是非財政面のご支援を賜りますようお願い致 します。（昭28応化） 国際環境NGO 草炭研究会 〒103-0006 日本橋富沢町7-2 森本ビル２F TELFAX 03-3666-7583 URL ; /soutan/