平成22年6月-福井県ホームページ.DOC

タイ王国の国際学術会議に出席する講演者と演題（要旨） 発　表　者：福井県恐竜博物館　特別館長　東　洋一 共同研究者：Jintasakul,P.，柴田正輝，HantaR.，ThasodY. 演　　題：タイ王国東北部下部白亜系コク?クルアト層から産出した獣脚類カルカロドントサウルス類の新標本 （New carcharodontosaurian theropod materials from the Lower Cretaceous Khok Kruat Formation in Northeastern Thailand） 日本－タイ王国共同恐竜化石発掘調査（2007-2010）で大型獣脚類が発見された。発見された部位は前上顎骨、上顎骨、歯、頸椎、胴椎、尾椎、爪、中足骨である。前上顎骨や歯の形態的特徴はカルカロドントサウルス類に類似している。アジアで見つかる大型獣脚類は、モノロフォサウルス、ヤンチュアノサウルス、シンラプトルが知られているが、全てジュラ紀の恐竜である。また、タルボサウルスは白亜紀後期である。白亜紀前期から中期にかけては、シャオチロング、フクイラプトル、シャモティラヌス、シャモサウルスを除くとまだ比較的少ない。今回新しく発見されたカルカロドントサウルス類は、アジアの白亜紀前期に生息していた非鳥類型大型獣脚類の進化、分類、古生物地理学的移動に新たな知識をもたらしてくれるものと期待している。 発　表　者：福井県立恐竜博物館　研究員　柴田　正輝 共同研究者：Jintasakul,P.，Hanta,R.，Thasod Y.， Jenjitpaiboon, K.，湯川弘一 演　　題：タイ王国東北部ナコーン?ラチャシーマ県に分布する下部白亜系コク?クルアト層から発見された部分的なイグアノドン類の頭骨について （A Partial Skull of Iguanodontian Dinosaur from the Lower Cretaceous Khok Kruat Formation, Nakhon Ratchasima, Northeastern Thailand.） 同地層から初めて発見されたほぼ完全な脳函部および頭蓋の一部について報告する。共同発掘調査により発見された標本で長さ285mm幅196mmあり、発見時は上下２つのパーツに分かれていた。クリーニング作業後、接合する部位であることが確認され、保存状態が良好であることが分かった。その特徴から、中国で発見されたイグアノドン類に近いことが分かった。タイ王国からは現在2種類のイグアノドン類が知られているがいずれも部分的で、本標本のように保存状態の良いものは少ない。本発見は、前期白亜紀のイグアノドン類の多様性がアジア、特に東南アジア地域にも広がっていたことを示す証拠であり、イグアノドン類の進化を考える上で重要な標本である。 発　表　者：福井県立恐竜博物館　研究員　柴田　正輝 共同研究者：中原雄平※，東　洋一※，Jintasakul,P.，Hanta, R.，Thasod,Y.，Jenjitpaiboon,K.， Khonchoho,W.，Duangkrayom,J.，Boonchai,N. 演　　題：タイ王国から発見されたイグアノドン類の頭骨の復元 （Reconstruction of an iguanodontian skull from Thailand） 2007年より行われてきた共同発掘調査では、多くの脊椎動物化石が発見された。恐竜では、イグアノドン類のものが最も多く、頭部、脊椎、四肢など全身の部位が発見されている。発見された頭部から、少なくとも３個体以上が混ざっていると考えられるが、同じエリアから発見されていることを考慮すると、同じ種類のものである可能性が高い。そこで、同一個体かどうであるかという議論は今後おこなうこととし、ここでは大きさが調和的な部位を用いて頭部の復元を試みた。タイ王国のイグアノドン類の頭部が復元されるのは今回が初めてである。 発　表　者：福井県立恐竜博物館　主任研究員　野田　芳和 共同研究者：Jintasakul, P. 演　　題：タイ王国東北部ナコーン?ラチャシーマの恐竜発掘地の下部白亜系コク?クルアト層から産出した二枚貝類 （Bivalves from the Lower Cretaceous Khok Kruat Formation at the dinosaur excavation site in Nakhon Ratchasima, NE Thailand） 日本－タイ王国共同恐竜化石発掘調査で発見されたコク?クルアト層から産出する軟体動物化石のほとんどは二枚貝化石で、カキ類、トリゴニオイデス、プリカトウニオ、ニッポノナイアなどであ