石灰石矿山-J-STAGEJournals.PDF

石灰石鉱山 〔坑内採掘〕 〔3-1〕 八 茎 鉱 山 楢木野 正 明1 により経営が行詰り,大正14年 に閉山のやむなきに至った。そ 1.　位 置 交 通 の後 当鉱山は,福 島県いわき市四倉町玉山菖蒲平にあり,常磐線四 昭和14年 磐城セメント(株)が鉱業権を買収し自家工場原料と 倉駅北西約12km,駅 前よりバスにて約40分,標 高250mの して石灰石の採掘を続けた。所に 位置する。東に太平洋を望み,四 季を通じて比較的温暖な気候に 昭和29年 日鉄鉱業(株)は,磐 城セメント(株)より鉱業権を買 恵まれている(第1図)。 収した。 昭和33年 銅鉄鉱石開発と併行して磐城セメント(株)(現 住友 2.　沿 革 セメント(株))向 け原料として石灰石の開発に着手し,8月 より 当鉱山は,銅 鉱山として明徳2年 に発見され,明 治末期より大 露天掘による生産を開始した。 正の初期にかけて盛大に稼行された銅山で,第1次 大戦後の恐慌 昭和38年 坑内サブレベルストーピングによる生産を開始した。 昭和46年 タングステンの生産開始。 昭和49年 タンカルの生産開始。 昭和53年4月1日 より,日鉄鉱業(株)全額出資の八茎鉱山(株) として発足した。 昭和58年3月31日 住友セメント(株)四倉工場向石灰石送鉱停 止。7月1日,日 鉄鉱業(株)全額出資の新八茎鉱山(株)と して発 足した。 3.　地 質 ・鉱 床 八茎鉱山周辺の地質は,阿 武:隈山地の東南端に位置する時代未 詳の古生層より成る。古生層の下部は,角 閃片岩,泥 質片岩の互 層で,上 部は粘板岩,石 灰岩,砂 岩,礫 岩,輝 緑凝灰岩等の互層 より成る。石灰岩層は,走 向東西に1,200m,南 北に1,300m, 平均層厚100m以 上に達し,走 向方向に向斜,背 斜を連続しなが ら,北方に20°～30°傾斜している。石灰岩は,大 別して白色, 縞状,黒 色の3種 類の互層をなし,一 部再結晶している。石灰岩 層には,厚 さ10～20mの 粘板岩層を挾有している。これ