新生児同种免疫性血小板减少症-J-Stage.PDF

日小 血会誌17:418-421,2003 第44回学会 ・委員会セ ッシ ョン 特発性血小板減少性紫斑病委員会 新生児同種免疫性血小板減少症 (neonatal alloimmune thrombocytopenia, NAIT) 大 戸 斉 福島県立医科大学輸血 ・移植免疫部 Neonatal Alloimmune Thrombocytopenia Hitoshi OHTO Division of Blood Transfusion and Transplantation Immunology, Fukushima Medical University 血 小板 膜 上 には赤 血 球抗原(ABH,Lewis,Ii,P),HLA 1.　は じ め に 抗 原(class-Iだけでclass-IIは欠 く),血小板 抗原(HPA) 新生児 の0.5%が血小板減少(15×104/μ1)を呈す る と が表 現 され てい る.血 小板 抗原 はお もにintegrinsuper- いわれてい る.新生児期 に血小板減少症 をきたす疾患 と family(接着 分 子 の一種)に 属 す る糖 蛋 白上 にあ り,血 管 して,ウ イル ス ・細菌感染,母 体 の高血圧 ・子癇,母 体 内皮細 胞 に発 現 され てい る もの もあ る. の 自己免疫疾患(自己免疫性血小板減少症ITP,全身性エ 1.　血小板 抗原 系(humanplateletantigens,HPA) リテマ トーデスSLEなど)が知 られている.し か し,一 血 小 板 同種 抗 原(allo-antigen)系は国 際輸 血 学 会 に 種 の母児問不適合妊娠 であるNAITは出生前診 断が可 よって名 づ け られ た統 一名HPAが 使 用 され る. 能で,治 療 も特異的であることか ら新生児 を扱 う臨床医 1) HPA-1(Zw,Pl) には重要である. HPA-laは白人種 において は もっ とも重要 な抗原 で NAIT症例 の30～50%に関与 してい る1).HPA-la抗体産 II.　血小板膜 上の 同種抗 原 生 とHLA-DR52と密接 な関連 がある.日本人 の大部分 母親 が保有せず,児 の細胞膜上 に表現 される糖,蛋 白, (ほぼ100%)はHPA-1(a+b+)で不適合妊娠 とな る確率 糖蛋 白が母体 の免疫反応の標 的 となって,産 生 した抗体 は著 しく低 く,HPA-1抗原 の臨床 的意義 は低い.今後, が児 の血球 な どを破壊す る病態 が母児不適合妊娠 であ 国際結婚(妻 が 白人 の場合)が 増 えて くる と意味合いは る.この うち,母親 に対応抗原 をまった く欠 く場合 をiso-異 なって くる.適合血小板 の入手 は不可能である. immune,似て非 な る抗原 をもつ場合 はallo-immuneとし 2) HPA-2(Ko,sib) て区別す る.前者 にはRhD陰性,血小板無力症,A型 児 HPA-2bに対 す る抗