国际文化论とは何か.docVIP

～国際文化論～　木曜２限（夏）　都丸　潤子　Ｂ系列 （レジュメ１）国際文化論とは何か？文化とは？ １．国際社会と文化 文化：　人間集団が持っている生活様式 ＜１＞文化の観点がなぜ必要か（なぜ文化が重要視され始めたのか？） ５つの理由 民族紛争の頻発　（冷戦終了→民族紛争→文化の承認） 頻発する民族紛争では、文化の承認が求められている。また、国際機関の活躍が期待されているが、こうした活動も文化と言える。 グローバル化と地域統合の進展 域内文化の共通性と多様性が見られる。また、小地域の文化が自立性を高めている。（例：共通通貨ユーロに反対する英国文化） 人の移動と定住の拡大 移住や定住が拡大することで、他文化との共存が求められている。また、その過程で発生するディアスポラはトランスナショナルな存在で、文化の視点重要。 情報?文化のグローバリゼーション 例えば、遠隔地ナショナリスト（アメリカ在住のユダヤ人のように、他の場所にいる人が祖国の同朋と同じように活動する）、抑圧されていた先住民?マイノリティーが情報を得、情報を発信する、といったことが多く見られるように。 冷戦終結と国際政治理論への影響（文化としての国際関係） ＜２＞国際文化論とは？ 国際関係論の対象： 国際社会という領域において、政治?経済……といった諸側面をもつさまざまな水準の主体の接触に伴う相互作用?影響（脱国家の集団（trans-national）??ＮＧＯや多国籍企業等、そしていろいろなレベルでの国?政治の接触） 国際文化論の定義 複数の定義がありうる ①「国際関係を文化で見てみようとするもの」 文化?心理等が及ぼす影響／政治や軍事でなく、コミュニケーションや文化といった分野（low/soft politics）?　政治?経済（high/hard politics） 国家中心主義を見直さなくてはならない／softな側面の重視（人の顔が見える国際関係） ②「国際関係そのものさえがひとつの文化であると考え、国際関係の全体を文化の視点で理解する試み」 ③「動く国際関係論」（ヒトは文化を帯同して移動し、触変、変容を経験する。また、文化自体も変化するものだと捉え、研究する） ④「文化間関係としての国際関係」と「文化的関係としての国際関係」 お互いの文化的背景を見ていく ＜３＞方法論 ５つのポイント 文化の普遍性 国境?国家の残存　（様々な変化にもかかわらず、国境はなくなっていないという事実。また国家も今後長期にわたってとにもかくにもならないであろう予測） 多様な行為主体が国際関係に参加している 文化の個別性　（それぞれの社会にそれぞれ固有の文化があり、多様な行為主体が国際関係に参与するありさまを考察すれば、文化という統一的な視点で国際関係を理解することになるはず） 歴史的考察という確固とした拠り所 広義の文化と狭義の文化 狭く見る（お互いの国を見る） もっと広く、国際的な視野で世界全体の文化間関係をみる ２．文化とは何か （１）本講義での中心的定義 C.Kluckhorn(1945)による： 「文化とは、後天的?歴史的に形成された、外面的および内面的な生活様式の体系であり、集団の全員または特定のメンバーにより共有されるものである」 上の定義の核となる「外面的および内面的な生活様式の体系」の原文はsystem of explicit and implicit designs for livingである。短く言えば、「生きるための工夫」が文化と言える。生きるために何をどう食べ、何をどう着て、どのような居を構えるのか、ということから始まって、集団として生きるためにどのような外交交渉のスタイルをとるのか、というレベルにいたるまでの、すべての工夫の体系が文化なのである。文化は高尚なものとは限らない。 定義のその他の部分は、「違うところで生まれ育った人は、異なる文化をもつ」というような意味である（文化の個別性） （２）「文化」定義のバリエーション 文化はさまざまに定義されている。文化を、人々の生活の仕方のすべてを指す、広い意味の言葉としてはじめて定義したのが、レジュメ１に紹介されているエドワード?タイラーである。人間が生きるために必要とする能力や習性の全体が文化である。そのような能力や習性を人間は社会のなかの一員として獲得する。これは、具体的?実態的な文化の定義である。 反対に、抽象的な定義もある。それが、自然環境に対する「適応の体系」として、あるいは、観念体系として、象徴の体系としての諸定義で、「文化とは、行動の型（パターン）や類型（タイプ）である」といったようなものである。 上では、文化人類学的な定義で、自然環境と対峙する人間の持つものとして文化を捉えているが、「政治文化」といったように