九州大学附属図书馆月报.PDF

九州大学附属図書館月報 Vol．　5，　No．　12 The　Kyushu　University　Library　Bulletin 長　　尾　　公　　司 　最近の電子計算機の発達とその適用技術の進歩とは， 情報処理能力の増大，作業の能率化，あるいは新しいサ ービス領域の開拓などの面から，既存の情報管理組織に も大きな変革をうながしている。米国国立医学図書館 （NLM）が“情報の氾濫”を予想してIndex　Medicus （IM）の刊行プロセスの行きづまりを打開しようとして 行った検討の結果，電子計算機を中心にして，全世界 の医学文献情報を入力蓄積し，出力として，印刷版型の レイアウト，写真植字，検索ができるシステムである MEDLARS　（MEDical　Literature　Analysis　and　Re－ （CAS機械化関係出版物の一部） trieval　Systemの略）を開発して，1964年に実用化した ことは，大規模な機械化計画のモデル・ケースとして，各方面に反響を呼んだが，American　Chem－ セスの改良を主眼として進めている機械化計画は，MEDLARSの規模を上まわるものとして，そ の完成が期待されている。 　CASの予測によれば，国家あるいは社会の要求と，それにともなう研究投資の増大による研究活 動の活濃化がもたらす情報量の激増という世界的な現象は，化学の分野では特に顕著で，CAが1966 年に収録した化学関係記事は，年間約24万件であったが，1970年には年間約36万件になるとみられ 万に達する見込である。そして，1966年には約9万ページであったCAの年間総ページ数も，1970 名，1970年には1，250名と急増し，CAの刊行事業に重大な影響を与えるであろうとしている。 　CASは，こうした事態を慎重に検討し，（1）出版物を電子計算機で作成する，（2｝電子計算機による 情報の検索と提供とを可能にする，（3）索引・抄録作業のように人手によらざるを得ない作業にも， 機械力による能率化の途を開く，といった点を大きな狙いとして，全米科学財団（NSF）の強力な 財政的援助と国立衛生研究所（NIH）国防省（DOD）食品医薬品局（FDA）およびNLMの技術的 の開発に乗り出し，まず電子計算機による2次刊行物出版の可能性を確める意味で，1960年に て使うという，IBM研究所のLuhnらが，確率過程から重要語の出現頻度の分析を試みることに そのことだけでも論議の対象となったが，速報性の点で高い評価を得た。つづいてユ965年には， 66 図書館情報 出し6さらにCT，　CBAC，　POSTの内容を磁気テープ化して売り出し，またCBACについては， 電子計算機の高速プリンターを利用してその内容が16mmマイクロフィルム化されることも発表： され，将来の2次刊行物の配布形式に問題を提起している。 　CAのマイクロフィルム化については，創刊号からのバックナンバーが16mmサイズのカートリ ッジ入りマイクロフィルムに収められ，1966年からCAプリント版の予約者に対してレンタル制， で提供できるようになったが，このマイクロフィルムには，コードライン・インデックス（ヴィジュ アル・アクセス），イメージ・コントn一ル（ダイレクト・キーボード・アクセス），さらには，電子・ 計算機と協働するミラコード・システム（ランダム・キーボード・アクセス）の各種の高速検索に 適するマーキングが付され，Kodak社あるいは3M社の高速セレクター付リーダー・フ。リンター によっ’ ば，読取りまでの時聞は平均5秒，コピー作成に約30秒という速さである。CBACによるテスト の結果をみて，CAも電子計算機からρマイクロフィルム作成に本腰を入れることになるであろう。． 　CASの機械化グループは，　CTやCBACの経験によって，原資料が発表されてから，　CASが それを入手するまでに1週間，論文の選択に2週間，印刷に1週間，通算して発行までに4週間： という平均値を得たので，従来CAの発行に要した14週間（原資料の入手に2